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林芙美子「めし」の駅 [わが街・下駄ばきドドンパ]

あまり人の口にのぼらない天満宮があります。
その神社の森の横に電車の停留所があります。
昼間なにげなく見ていると
電車が停まっても
乗降客がほとんどありません。

路面電車(このあたりは専用の線路ですが)の
阪堺電車の「天神ノ森」駅。

この小さな特徴もあまりない寂しい駅の近くに
林芙美子の「めし」の主人公が住んでいます。
芙美子はどうしてここを選んだのでしょう。

はなはだ勝手な主観だけでいえば
この線路は
お金持ちと庶民の境界線になっているみたいです。

大雑把にいうと!
線路は南北に敷設されていて
東側は阿倍野区で
地形がだんだんのぼっていき
広い敷地のお屋敷が多いような気がします。
西側は西成区で
海に向かった平地で庶民の家がひしめいています。

その取り合わせが面白くて
この地を選んだのでしょうか。

  同じような家が、路地の両側に並んでいる。
  どっちの家並みも屋根つづき。
  火事になったら、あぶない家の構えだが、
  ここは、戦災にものがれている。
主人公の家の様子です。

主人公の家は安サラリーで生活が苦しいのですが
すぐ近くの山の手の帝塚山の叔父さんは
大きな屋敷を構え
庭番も女中も雇っている、、、という設定です。

主人公は2階へ上がっている間に
玄関の靴を盗まれます!
隣の家も被害にあって
「明日は、お父さんに、
  下駄はいて、会社に行って貰わないけません」
なんていっています。

昭和26年頃の
風俗がよく描かれていますね。

朝日新聞に連載していたこの小説は
芙美子の急逝によって
未完に終わっています。
どうして「めし」という題をつけたのか!
私には分からないままです。

(敬称略)


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