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北嵯峨 直指庵 一輪の愛をください [猫も歩けば棒立ち]

北嵯峨の直指庵(じきしあん)は
「駆け込み寺」「泣き込み寺」ということばが
よほど嫌いなようです。

直指庵のホームページに
このことばを
「直指庵から発したことはございません」と
ご立腹です。

「タクシーの運転手さん」
「駆け込み寺との間違った説明はしないで下さい」
blog21.jpg

これは2 年前
直指庵の入口にあった張り紙の写真ですが
現在もおんなじでしょうかね。
なにか寂しくて
そばを通ったのですが
山門まで行きませんでした。
blog22.jpg

が!その昔
直指庵主・広瀬善順尼は
「泣き込み寺」といわれることに
不快感を持ってはいなかったのでは。

昭和 52 年(1977 年)発行の
「一輪の愛をください」を見ると
「泣き込んでくる者あれば」
「その人のことばに耳を傾けずにはおれないのどす」

また善順尼はこの本で
「江戸末期に近衛家の老女村岡さまが」
「浄土宗の尼寺として再建された」と
説かれていますが
ホームページには
「これは重大な間違いです」
「尼寺として再興したものではありません」とか。

過去の尼僧の存在や
尼寺を否定しているようです。

今の庵主は
亡き広瀬善順尼を嫌っているのか
利害関係が対立しているのか
まったく違う宗教になっているのか
私は知る由もありませんが
面白いですね。

京都には
古い歴史とロケーションを利用して
ときにはねつ造してまでも
金儲けに走る寺院がないこともないですからね。

「一輪の愛をください」は
直指庵に置かれたノートに
書き込まれた膨大な文章の中から
善順尼が供養のためにいくつか抜き出して
本に編集したものとか。

主に若い人の苦悩が書かれているのでしょう。

詩を書いて行った人も多くいるようですが
定型詩はないようです。
いや!漢詩がひとつ。

  直指竹径青
  幽雨包遠鐘
  離俗入流転
  泣嘆後独照

若い人ですね。
渦津守作(23 歳)と署名がありますが。

きれいな絶句!脚韻ですね。
北京語は知らないし
漢字にも浅学にして縁がありませんが
字をながめていてそう思いました。

ただ最後の独照が分りませぬ。

  長夜(とこよ)に慣れて春時を過ごし
  月光は水の如く緇衣(しい)を照らす

なんて
魯迅(ろじん)の詩でしたか!
唐突に浮かびましたが
関係ないことは火を見るより明らかですね。

ああ!そっか!
ここに最初に草庵を結んだ僧が
独照禅師だったのですか。

(敬称略)
タグ:魯迅
コメント(6) 
共通テーマ:日記・雑感

コメント 6

nao0880

直指庵、むかし京都に入り浸っていた頃は、駆け込み寺であったと記憶しています。「想い出草」を始めた広瀬善順尼さんの頃です。
そのあと、相続争い?があったと記憶しています。

「直指庵に対する表現等の訂正とお願い」や「直指庵は尼寺ではありません」は、現住職の意図が表れているのかもしれません。

京都も秋ですね。
また、訪れてみたく思い始めました。
蓮華寺さんや修学院離宮のあたりが好みです。曼殊院や赤山禅院もよいですね。ではまた。
by nao0880 (2011-10-12 08:15) 

ほっ

もうすぐ紅葉の季節ですね。
洛北も修学院離宮あたりはアクセスも良く
散策したいものですね。

久しぶりに
雲母坂から叡山まで歩きたくなりました。
by ほっ (2011-10-12 08:39) 

nao0880

雲母坂で、洛北一乗寺で食べた茄子の味噌漬けを思い出しました。
小ぶりの茄子で、雲母漬の名前でした。

ずいぶん昔のことです。
by nao0880 (2011-10-12 12:41) 

ほっ

この春にいただきました!きらら漬。
一乗寺下がり松から少しだけ北に行った
「穂野出」の名物ですね。
赤ワインの肴によろしい。
私の味覚は変でしょうか。
by ほっ (2011-10-12 13:42) 

秋太郎

一ヶ月くらい前、直指庵におじゃまいたしました。
閑寂でこころ落ち着くところでした。

同庵に関し、昭和7年発行の本にある随想の中に「尼寺」とはっきりと表記されています。
「直指庵といふのが、そのたづぬる尼寺の名でした」と。
そして「庵主たる中年の尼さんに會ひ、すこし言葉を交した」とも。

どのような経緯がお寺におありなのか、門外漢に知る由もありませんが、あった歴史は歴史としてご紹介されたほうが良いのではないでしょうか。

御仏にお仕えをされる方にとって、一番大事なことは、御仏に素直に、偽りなくでは……。そんな思いがいたします。

by 秋太郎 (2011-11-22 11:20) 

ほっ

貴重なご教授ありがとうございます。
生きていたらいろいろあるんですね。

拝観料を取っているのですから
ありのまま淡々と
歴史を教えてもらいたいものですね。
by ほっ (2011-11-22 12:18) 

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