SSブログ

興聖寺で坐禅です [猫も歩けば棒立ち]

琴坂を進みます。
blog61.jpg

ゆるやかな上りです。

両脇の小さな小さな流れから
琴の音が聞こえるから琴坂と巷間うわさされます。

琴の音なんか聞こえやしませんよ!私には。
水の流れの音と
絃(げん)の振動音が似ている訳はないでしょう。

達人が胸の奥で変換すれば
同じような音になるのかも知れませんが。



龍宮造りの山門をくぐって
興聖寺(こうしょうじ)に入山します。
blog62.jpg

日本三禅宗のひとつ
曹洞(そうとう)宗の道場です。
blog63.jpg

宇治川の清流沿いの高台
修行するロケーションは申し分ありません。
blog64.jpg

法堂(はっとう=本堂)の扁額。
blog65.jpg

「興聖寶林禪寺」ですか!

興聖宝林禅寺?!

「典座(てんぞ)教訓」の冒頭にありましたね。

「観音導利興聖寶林禪寺比丘 道元撰」の
「興聖宝林禅寺」ですか。



開基塔のある北の端の高台に上がります。

たくさんのいらか波打つ大きな寺院です。
blog66.jpg

曹洞宗の宗祖の道元(1200 ~ 1253)は
28 歳のとき宋から帰朝しています。
34 歳のとき
観音導利興聖宝林禅寺が建立されて
38 歳のときそこで典座教訓を撰しています。

それまでにも
帰朝してから精力的に執筆しています。
6 巻目の著書かも。

典座教訓は
仏家の一切の食事の心得を説いたもの。

仏道修行に
食事のことなんかどうでもいいじゃないかと
軽くみる心を戒めています。

昔より「道心の師僧」や「発心の高士」
早いはなし!高僧たちはみんな典座
すなわち!料理係つとめてきたといいます。
非常に大切な役目ということらしい。

道元は留学前後
京の建仁寺で修行していますが
そこの食事や作法が
「あたかも禽獣の如し」と断定するほど
ひどかったのでしょうね。



ふと!大相撲のちゃんこ番を思い出しました。

相撲の修行にちゃんこ番
すなわち!料理をする必要があるのでしょうか。

プロの野球でもサッカーでも
毎食の料理はしないですからね。

でも!大相撲のちゃんこ番には、、、!?
きっと大変な意味があるのでしょう。

出羽錦忠雄著/土俵の砂が知っている/では
軍隊に召集されて新兵のとき
「相撲取りだからちゃんこ料理を作れ」と命令され
困ったことが書いてありましたが。

その当時のかれの所属した出羽海部屋には
100 数十人の相撲取りがいたので
料理上手の兄弟子が腕を振るい
かれは水汲みや下ごしらえしかしてなかったようです。

それも立派なちゃんこ番には違いありません。



閑話休題。

禅宗ですから
立派な坐禅道場(僧堂)があります。
blog67.jpg

今日はお寺の都合で
法堂に座らせてもらいます。

坐禅の前には装身具をはずします。

私の場合いつも
時計もかんざしもなにもつけていないので
靴下を脱ぐだけで簡単ですが
体中にリングの人やアデランス自慢の人や
鼻に豚の骨を刺している人はどうするのでしょう。

入堂は叉手(しゃしゅ)!左足から!
聖僧さまに合掌低頭(ていず)!
隣位問訊(もんじん)!対坐問訊!
坐蒲(ざふ)に座り
坐蒲ごと後ろに向いて面壁(めんぺき)と
付け焼き刃で習って
半分も満足に実行できずに壁に向かいましたが。



足が!あしが!足が!
歩き過ぎて両ひざや足首を痛めているので
組めません。

右足だけを左ももにのせるだけの
できそこないの半跏趺坐(はんかふざ)で瞑想。

私の前には壁がなく
老梅庵(開山堂)と対峙します。
blog68.jpg

初めから意図的に
風の通る入り口に座るなんて
こんなときにもズルして
情けない人生ですなぁ。

警策(きょうさく)で打たれなければなりません。

打って!打って!
打たれるの!結構好きかも?!

そんな戯言(ざれごと)は
ハイキングの相棒のアラフォー(around 40)の
お色気年増には通用しても
まじめそうな青年僧の直堂(じきどう=監督)は
阿呆を相手にしてくれませんね。



典座教訓を著した興聖寺は
ここではありませんでした。

京の深草にあったのですね。
応仁の乱(1467)なんかで焼失し
江戸時代になってから
この地に再興したようです。

それだから建造物は
慶安元年(1648)以降建立のものばかりですね。
blog69.jpg



琴坂を下って帰ります。

和琴のなだらかな傾きに似ているから琴坂!
という珍説も聞きますが
私はふと
「言(こと)」坂ではないかと思いました。

禅の修行には
むだな「言葉」を慎みます。

しゃべってはいけません。

みずからを戒めて
心をすまして
「言霊(ことだま)」を聞く坂じゃないでしょうか。



(敬称略)
タグ:典座教訓
コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。