SSブログ

ももんがぁ! 高円山のムササビ [手のひらを太陽に]

冬の高円山(たかまどやま)
雑木林は結構にぎやかですね。
blog11.jpg

ヒヨドリの声は分かるのですが
名の知らない鳥の声がいっぱい。

たいてい鹿の気配があるのですが
今日はどこかへ行っていますね。

大文字の送り火の火床。
blog12.jpg

見おろす盆地は平城京のはず。

大の字に沿って急峻な丘を上ります。
blog13.jpg

ん!?
blog14.jpg

大の字よりさらに上れば
最初のピークに穴が!
古墳の石室でしょうか。
自然の穴のようでもありますが。

なんだか不気味!



「ももんがぁ!」

と!だれかが叫べば
小心ものの私(ホントーです!)なんか
腰を抜かすところ。

ひとりで歩いていますから
もし聞こえたら
別の心配をしなければならんでしょうけど。

「ももんが」ということば!
こどもを怖がらせるときにいったようです。
江戸落語で聞いたことがあります。

落語ではまた
女性のフツー隠しているところを指したりします。
それも特別毛深いもの?!知らんけど。

別の意味でいえば
そんな「ももんが」なら怖い人は怖いんでしょう。
こどもよりおとなの方が怖い!?知らんけど。

でも!哺乳類のモモンガは
大きい個体でも 200g ほどでしょ。
しかも草食です。
かまないでしょう。
可愛いです。

空は飛びます。
滑空でしょうけど。
空飛ぶハンカチといったところでしょうか。

飛ぶのは夜中です。
夜中に飛んでいると
闇が夜を制していた時代には
怖いものと想像してしまいますか。

薄明りに目玉が光って見えたりして。

中村浩著/動物名の由来/によると
夜道を行く人の松明(たいまつ)を襲い
その火を食うといわれているそうな。
妖怪ですね。



モモンガが空飛ぶハンカチなら
ムササビは空飛ぶ座ぶとんといったところ。

ムササビの方が恐いでしょ?!
目方でいっても 10 倍はありそう。

昔はモモンガとムササビの区別が
そう厳格でもなかったのですかね。

太田雄治著/マタギ/では
奥羽連峰の猟師は
ムササビのことをバンドリと呼んでいます。

晩に飛ぶ鳥のようですから晩鳥!

近藤四郎編著/日本の野生動物99の謎/に
関東北部の猟師はモモンガを
コバンドリといっていたとあります。
小さなバンドリですね。

先ほどの妖怪は空飛ぶムササビを
「ももんがぁ」と呼んでいるのかも。



ついでに書きますが
ムササビの肉はおいしいそうな。
それに毛皮が上等だといいます。

平野惣吉著/山人の賦(やまうどのうた)Ⅰ/によると
バンドリ 1 匹で米 1 俵と交換できたそうな。
100 年ばかり前の桧枝岐村(ひのえまたむら)でのこと。

それには毛皮が一番いいときに獲らねばなりません。
一番いいときとは一番寒いとき。

「家さ帰っても」
「火を焚(て)えといて凍(しみ)とかさねえと」
「沓(くつ)も脱げねえだ」

それほど寒さがひどかったそうな。
昔の人の頑張り!エラいですね。



大宮人(おおみやびと)はこの高円山で
ムササビを目撃しています。

ますらをの 高円山に せめたれば
里におりける むささびぞこれ

大夫之 高圓山爾 迫有者
里爾下来流 牟射佐此曽此(1028)

万葉時代からムササビは
ムササビ(牟射佐此)なんですね。

大木がないと暮らせない動物ですので
この山では食事くらいでしょうけど
普段は里に下りて
大木がよく保存されている春日大社の森なんかに
棲息しているのかも。
今もたくさんいるはず。

真夜中に東大寺の近くで
にゃんこのような!
ひきつけを起こしたあかちゃんのような!
大声を聞くことがあります。

二月堂のお水取りのときに
行基杉からころがり降りてきて
私のすぐ前を通り過ぎて行ったのもたぶん!ムササビ。



あ!高円山の穴にもどります。

カップルが仮寝できるくらい充分広い。
blog15.jpg

帰ってから思い出して
奈良市の「観光」やら
「発掘」やらを受け持っていると思われる
「公」の組織のいくつかにでんわして尋ねました。

簡単に答えてくれると思ったのですが
あわてさせて!すみませんでした。
みなさん!穴があることさえご存じないようです。
そんなに大騒ぎさせるつもりでは
なかったのですが。

たぶん!高円山を崩壊させる穴ではないようなので
ご放念あれ。



(万葉集の歌は佐佐木信綱編/白文万葉集)
(および佐佐木信綱編/新訓万葉集を参照)
(敬称略)
タグ:送り火
コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。