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春風や堤長うして家遠し [わが街・大阪ブギウギ]

大川(旧・淀川)に架かる
毛馬橋(けまばし)を
右岸(大阪市北区)から
左岸(都島区)に渡ります。
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なんとなく卑猥(ひわい)です。あは。

「ももだに(桃谷)から
「しりいけ(尻池)に回って
「けま(毛馬)の
「こうもん(閘門)に行ってんか

みんなこのあたりの地名なんですが
「知らんタクシーの運転手にいったら」
「怒りまっせ」と噺家(はなしか)の
亡き露の五郎兵衛師匠の弁。

地理に疎い運転手がいるとも思えませんが。

この橋は日本最初の連続合成桁橋!
と!説明されたこともありますが
なんのこっちゃ!抹茶に紅茶。

上記のお色気ばかり記憶に残り
橋の構造にも歴史にも
なんの興味のないものには
馬の耳になんとかやら。
すみませんでした。



渡ったらすぐ蕪村公園。
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もちろん!与謝蕪村を顕彰する公園。
蕪村はこの近くにあった
毛馬村(けまむら)の出身です。

自筆の「春風馬堤曲」が掲示されています。
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几帳面な字ですね。

これは近代詩だと
(たぶん)写生主義の立場から
正岡子規は賞賛したのですね。

近代詩とは認めるが抒情詩人だと
子規に反論したのは萩原朔太郎でしたか。

いずれにしろ多くの詩人俳人が
高く評価しているようですが。

発句(俳句)と漢詩と漢文体と混合した詩。
詩といっていいのですかねぇ。

詩の内容は
奉公に出ていた少女が「やぶいり」で
うきうきと堤を歩いて帰郷する
心情を詠っています。

これは少女に仮託した
蕪村の「心」だという人ばかり。

「やぶいり」は旧暦の 1 月と 7 月です。
この詩の少女は春の暖かさの中にいます。
蕪村が
現実に遭遇したはなしじゃないのでは。

朔太郎のいうように
蕪村の俳諧の本質の「郷愁」が
作らせた詩(?)のような。



19 か 20 歳のときに故郷を出奔した蕪村は
生涯ただの 1 度も
帰郷したことがないと聞きましたが。

大坂にやってきたり
近所を通過していたり
晩年には京都に住んでいたのに
毛馬村には帰っていません。

中国には望郷の
悲痛の漢詩があまたありますが
それは帰りたくても簡単に帰れないほどの
遠い異国の地でしのんでいるもの。

蕪村の立場とは違うような。



大川の堤を歩けば
ほどなく毛馬閘門(けまこうもん)です。
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淀川から分流しています。
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このあたりの水底に
明治の終わりの淀川大改修まで
蕪村の故郷の毛馬村があったそうです。

淀川の堤防上に
「蕪村生誕地」の碑と
「春風馬堤曲」の中から抜いた
「春風や堤長うして家遠し」の
句碑があります。
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「はるかぜや つつみなごうして、、、」と
読みたい人が多いのですが
五郎兵衛は
「つつみ」じゃなく「どて」と読まないと
大坂(大阪)弁に
そぐわないといっていたような。
そうしたら 7 音になるので
8 音よりは正調かも。

それは私が勝手につけたい(?)りくつ。
「どて」に別の意味を持たせたいのですね。

ももだに!しりいけ!から
どて!
さらに!けま!こうもん!が正しい?!

「毛馬」とは妙?!
でもなんでもなく
淀川のデルタの草木を「毛」と呼んだ!?
そこへ馬の放牧?!

デルタぁ!?
毛~!馬~?!
あらたに妖しげなものが加われば!もう
浅学にして理解不能です。

近いうちに
この方面では人後に落ちない賢姉・大兄に
場末の居酒屋あたりで解説願いましょうか。



淀川左岸をさかのぼります。

河川敷に絵に描いたような整った木が!
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洪水がなん度も襲う場所なのに。

ふと!ボードレールの詩を思い出しました。

「きみの最愛のものは父か母か

「父も母もないよ

「友か

「そのことばを知らない

「祖国か

「地上いずこにそれがあるか

「美女か

「女神のようにつつましく不死の美女なら

「金か

「ぼくはそいつをにくむ

「そんならきみはなにを愛するのか

「ぼくはあの雲を愛する

そうだ!
蕪村の故郷はあの空の向こうにあるのだ!
なんて阿呆は思います。

現実の故郷に帰っても
あの日の故郷じゃない!
かえってあたためている故郷像が崩れる!
と思ったのじゃないでしょうか。

私もボードレールの詩に同感です。
祖国は!故郷は
胸の中だけで輝いていればいい!
そんな思いで義理を欠いて生きています。

義理を欠くというより
はじかれているのでしょうけど。



赤川鉄橋(淀川橋梁)は
歩行者は渡れなくなっています。
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あ!そうだ!
渡れなくなる寸前にここにきていましたね。
拙ブログ 2013/09/15

渡るのなら上流の
菅原城北大橋まで行くことになりますか。
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目をこらすと
赤川鉄橋を
客を乗せた電車が通っています。
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今まで!といっても 5 年前までは
貨物車と歩行者専用の橋だったのですが。



(ボードレールの詩は)
(堀口大学訳を勝手に縮めています)
(敬称略)
タグ:正岡子規
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