SSブログ

野ざらし コロナウイルス禍 [はなしのはなし 食えぬ梨]

遠い国のお噺(はなし)でおつきあい願います。
たぶん!お客さまはご存じない
元禄花見天国という国のおうわさでございます。



「ああ!突然休めといわれてもねぇ。
「することがない。
「いや!なにもしてはいけないのだ。
「コロナウイルスに感染してしまったから。

「日ごろ 24 時間働けとばかり叫んで
「風邪をひいたといえば気のせいだとか
「インフルエンザにかかったといえば
「根性で治せるだとか
「肺炎ですと申告したら
「葛根湯(かっこんとう)と太田胃散を飲めば
「大丈夫だとかいっていた上司が
「もう出てくるなとのたもうたね。

「世間体ばかり気にする職場からな。

「上司のおまえが行かねばならないところへ
「自分の女遊びの都合で
「急きょ!オレを行かせておいて
「そこでオレは感染したのだ。
「おまえのせいだろが!

「オレたちは
「うらやむ人はうらやむ高級官僚だ。
「この世界はエリートたちが上品に粛々と
「仕事をこなしていると思う人もいるけど
「とんでもないぜ。

「権力とカネと女しか
「興味のない連中のヌタ場だ。

「それに周囲には無能な政治家!
「いや!政治をなめている
「2 世 3 世の政治屋ばかり。
「アホなくせになにかしゃべりたがり
「すぐ問題を引き起こす。
「その舌禍をなんとかしろといいやがる。
「よくもまぁ!臆面もなくいえるね。

「エリートといわれる官僚と
「スター気取りの軽い政治屋には
「人の心はない。
「あれば仕事にならんけどね。

「その官僚集団で要領が悪くて
「いつまでも下っ端のオレは
「なにも楽しいことはない。

「ま!感染しているだけで
「別に症状が出ているわけじゃない。
「勝手に散歩ぐらいさせてもらおう。

「それで近所の淫多水(いんだす)川の
「遊歩道にきてみたのだが。

「おや!竿が捨てられている。
「バス釣りの竿かな。
「先がひび割れて曲がっている。
「それだけで捨てるんだな!今のガキは。
「先を少し折って捨てたら使えるじゃないか。
「多少はしなりが悪くなるけど。

「イワシの形のルアーがついている。
「淡水でイワシを追う魚がいるのかね。

「おお!第一投目でかかったよ。
「大きなナマズだ。
「おまえはバカか。
「リリースしてやるからもうひっかかるなよ。

「ナマズはビギナーズラックだったのか。
「もう日が暮れかかったのに
「あれからなにも釣れないね。
「帰ろうか。

「お!かかった!
「おや!逃げない!はねないね?!
「でも!重い。
「亀かも。
「ワニガメなんかだったら
「竿を投げ捨てて逃げよう。

「ん!白い!?
「ああ!しゃれこうべだぁ!

「警察にでんわしなければ。
「いや!でんわしたら
「オレが自宅静養していなかったことがバレる。
「それに職務以外に
「名前が出ることをいやがる職場だ。
「また!上司がくどくどと文句をいうだろ。

「ここで供養して帰ろう。
「ウイスキーをかけてあげます。
「こんなときには戯曲なんかでは
「念仏か題目を唱えるのかも知れないけど
「知らないから!般若心経でがまんしておくれ。



「夜も更けてきたから!もう寝るか。

ぴんぽ~ん。

「ん!?こんな時間に。

「な!なんだ!生温かい風と
「冷たい風がねじれて吹いてきたよ。

こんばんは」

「女性?!それにいつの間に!どこから。

ゆうれいです」
ゆうれいですから!どこからでも入れます」

「ゆ!ゆうれいに知り合いはないけど。

今日はありがとうございました」

「どこかでお会いしましたか。

淫多水川のしゃれこうべです」

「ひぇ~!わざわざおこし願わなくても。

心やさしいあなたにお願いがあります」

「オレに!いや!わたくしに
「できることなんかないですよ。

わたしの顔をご覧あれ」

「ひぇ~!のっぺらぼう!?

そうなんです」
わたしは人間じゃないんです」

「じゃ!なんなんです?!

キツネです」

「キツネ?!
「あのお稲荷さまの眷属(けんぞく)神の!?

それは“おあげ族”のほう」
わたしどもは“ポップコーン族”です」

「でも!どうしてキツネが人間の姿なんです?

古来!美人はキツネの化身が多いのです」

酒池肉林を楽しんだ」
殷(いん)の紂王(ちゅうおう)の妃の」
妲己(だっき)は九尾のキツネです」

日本では安倍晴明の母の葛の葉もキツネです」

今でもそうです」
試しにTVをご覧ください」
キツネが化けた美人だらけです」

たとえば“お嫁さんにしたい”タレントの」
上位はキツネだらけです」
逆に“したくない”タレントは」
タヌキが化けています」
両方同時にランクインしている女優は」
イタチの化身です」

簡単に見分けられます」
耳元で“たんたんタヌキのキンタマは”」
“風もないのにぶ~らぶら”と歌ってみます」
うふ!と笑えばキツネです」

凍りついたらタヌキです」
驚くと動かなくなる“不動化反射”は」
タヌキの得意ワザです」
怒ったり!無視したり」
ワザとらしいのはイタチです」
これをイタチの最後っ屁といいます」



私のことを申しあげると」
その昔!ある武家のお内儀が」
若い家来と駆け落ちしたのです」
わたしはその直後」
ちゃっかりお内儀に化けて」
なに不自由なくおさまっていたのですが」
持って生まれた淫乱の血が騒ぎ」
若い男とデキてしまったのです」

その日も夢中で」
アヘアヘしているところに踏み込まれ」
重ねてぶっすり成敗されてしまいました」

「おきのどくにね。

イカないうちに殺されました」

「残念でしたね。

それで元のキツネにもどれません」
天国に行っても親兄弟に会えません」
あのセックスで最後までイっていたら」
キツネにもどれたと思うのです」

お願いです」
このご縁を 258 年待っていました」
わたしをイカせてください」

「困りましたね。
「キツネをイカせる自信がありませんよ。

ほら!ご覧ください」
今は十分人間の女性です」
雪のような白い肌です」

「ああ!いきなり裸体を押しつけないで。
「いやに冷たいですね。

この肌をほんのり桜色に染めてください」

あぁぁぁぁあああ!

「いや!ホントに!オレも好きもんだなぁ。
「やろうと思えばできる体だ。

ありがとうございました」
このご恩は死んでも」
いや!もう死んでいるけど忘れません」

「いや!こちらこそ!ごちになりました。



「昨晩は驚いたね。
「だれにもいえないけど!なかなかだったね。

「あ!なんだ?
「この冷風と温風のトルネードは!

こんばんは」

「あ!昨夜のおキツネさん。
「親兄弟の元に帰ったのでは。

それが全然」
もしかしたら勘違いで」
わたし!キツネじゃなかったような」

「しっかりしてくださいね。

わたし!ネコ!化け猫でしたわ」

「ひぇ~!

猫に帰りたいのです」
もう一度イカせてください」

「やめてください!帰ってください!
「もうわたくしは知りません。

そんな冷たいことを」
昨夜はあんなに愛し合った仲なのに」

「コロナウイルスがうつりますよ。

もう死んでいますから!大丈夫です」

どうしても拒まれるのなら」
ニャァ!にゃあ!」
コロにゃあ!コロにゃあ!と泣きわめいて」
ご近所にうったえます」

「分かりました。
「お静かに。
「します!します!イカせますから。
「うふ!まだ雪のような人間の体ですね。

猫のラーゲ(性交体位)でお願いします」
そうして猫と念じてイキます」
それでちゃんともどれると思うのです」

「猫のラーゲって?!

わたしの首をかんで固定して」
バックでお願いします」

あぁぁぁぁああああ!

「オレも好きだねぇ。

このご恩は死んでいても忘れません」

「忘れてもいいから
「早くにゃんこにもどってね。



「2 度あることはなんとかというからな。
「よそう!そんな不吉なことを考えるのは。

「あ!またあのトルネード!

こんばんは」

「ホントにもう!やめてください。

私!猫じゃなかったみたい」

「簡単にいわないでください。

ムジナだったような」

「絶対!ムジナなんですね!
「よく考えてくださいね。

間違いありません」
小泉八雲をご存じですよね」

「ラフカディオ・ハーンですか。

かれの著書の貉(むじな)に」
のっぺらぼうはムジナとあります」

「あなたの今の顔ですな。

だからムジナに帰ります」
さっそくお願いします」

「拒否もできないだろうなぁ!ぐすん。
「もう乗りかかった舟だ。

ムジナのラーゲでお願いします」

「え?どんな形!?

お互いに強くかみ合って」
血だらけになって果てます」

「それは!ちょっとぉ!?

わたしは死んでいますから大丈夫」
血は出ません」
あなただけが血だらけになってください」

「ひぇ~!

あぁぁぁぁああああああ!

「オレも好きだねぇ。
「自分で自分の体が分からん。

このご恩は死んでいても忘れません」

「忘れて!忘れて!
「ホント~に忘れてくださいね。



「なんだか疲労がたまったな。
「体が泥のように重い。

「この 3 日!夢見ているようだ。
「いや!夢でもないか。
「ムジナのラーゲのときの
「かまれた跡が体中についている。
「青あざ!赤あざ!無数にあるじゃないか。
「悪い病気にかかっているようだ。
「コロナにやられたともいえないしな。

「ああ!まただ!この温と冷の風!

こんばんは」

「昨日約束したじゃないですか。
「どうした!またきたんです!

わたし!キツネでも猫でもムジナでもなく」
人間だったような」

「たいていそう思いますよね!最初に。
「冷静に考えたら。

では!今晩もよろしく」

「もういいじゃないですか!
「人間ですから。

でも成仏できません」
イってないと成仏できないのです」

「残念ながらわたくし!
「この過激な日々で体が萎えています。

あなたの体に青春がもどるまで」
このまま!なん日も」
添い寝して待ちますから」

「かんべんしてください。

こうしてやさしく!強く!」
撫でたり!引っ張ったり!くわえたり!」

「ひぇ~!



どうして!あなたはひとり暮らしなの?」

「いましたよ!妻が。
「処分しました。

処分?」

「わたくしの!
「いや!オレといわせてもらいますが
「オレの人生!なんだろう?
「振り返ると気が遠くなるんですよ。

「小中学校では神童と呼ばれていたのに。

「高校は当然!県下一有名な
「偏差値の高い進学校に入学です。
「しかし!簡単に上位に行けない。
「遊んでいても
「オレより成績がいいヤツばかりが
「集まってきていた。
「このあたりから
「余裕のない人生になったんだな。

「それでもなんとかくらいついた。
「そして!あのだれでも知っている有名な
「元禄花見大学にすべり込んだ。

「胸を張ったね!
「どうだすごいだろう!オレは秀才だと。
「ところが驚いたのなんの!
「学友には
「オレのなん倍も頭のいいヤツだらけ。
「あせったね。

「家が貧しかったので
「親は授業料しか出してくれない。
「500g 50 円の投げ売りスパゲティを
「朝昼晩!麺つゆを振って食べるだけで
「猛勉強したよ。

「苦学したものこそ立身出世できると
「無学な母親が口癖のようにいっていたけど
「このエリートといわれる学生たちは
「ほぼ 100%裕福な家庭の子女だった。
「いつの時代からか!貧乏人は
「いい大学に入れないようになっていたのだ。

「その裕福なヤツらがまた!頭がいいんだ。
「毎日!遊んで!セックス三昧なのに
「ゆうゆうとオレの前からはずれない。

「死にもの狂いで頑張って
「高級官僚に合格したけど
「そこで大変な目に合うとは。

「もっと落ち着いて考えればよかった。
「鶏口となるも
「牛後となるなかれ!じゃないけど
「いつも牛のしっぽにすがりついてばかり。
「鶏の頭になる方法を気づかなかったものか。

「世間では高級官僚とひとくくりだが
「要領と頭が悪くてオレはいつも下っ端。
「後輩にも追い抜かれ!みじめな役回り。

「そこへ上司が娘と結婚しろといってきた。
「どうして!オレ?ふしぎなはなしだったが
「親も困っていたのだろう。
「わがまま放題に育った女だった。
「官僚ならだれでもよかったのだろう。

「まともな女じゃなかったね。
「あいつは妻も女も人間も失格だったな。
「人の心を捨てた親の子だから当然かな。

「オレが上司の不注意から足にけがをして
「13 針縫ったときにも
「友人とテニス!というけど
「セックスかなんかしていて
「帰ってこなかったね。
「わたしが手術するわけじゃないそうな。



なんとかできそうになりましたよ」

「ああ!やめてください!
「上にのってくるのは!

「そうだ!あいつもあのほうは
「3 度のめしより好きだったので
「疲れて帰ったオレにめしの心配もしないで
「オレのジュニアを張り倒して
「上にのってきていたよ。

「にくしみだけがつのり
「かの女のくるまに細工をしたわけだ。
「電子回路をちょいちょいとね。

「友人つきあいは希薄だったけど
「とりあえず学友だった
「エスエム自動車に勤務の豊田と
「三角木馬車に勤める本田に
「知恵を借りたけど。

「かれらは“暴走”のプロだ。
「暴走車製作に日夜心血を注いでいる。
「その暴走データが
「安全設計に役立っているのだろう。

「その日も山の別荘で昔のオトコと
「セックスを楽しんだ妻が
「台風接近であわてて夜道を帰っていたとき
「細工は流々仕上げをご覧じろだ!
「みごとに暴走して!谷底に落ちて
「濁流に消えたというわけさ。

「くるまは発見されたけど
「かの女は未だ出てこない。
「海まで流されて今ごろ
「ちょうちんあんこうとでも
「セックスしていることだろうよ。はは。

「ボロぞうきんのようになっているくるまからは
「なにも犯罪の証拠は認められないわな。



「ああ!なんだこのテクニックは!?

かぶせ巾着(きんちゃく)ですよ」

「おお!そうだ!女房・サセ子の得意ワザだ!

余談ですが“かぶせ巾着”とは
あの謹厳実直!誠実純心で知られる「ほっ」が
信じられないけどエロ・グロの世界にいたときに
新・四十八手裏表のコンクール(!)で
提案したラーゲだといいますが
命名が面白いだけだと
好事家審査員に無視され選外になった
女性上位のワザですけどね。

こんな有意義なことはニッポンの
ガッコーではおせ~てくれません。

「どうして!こんなラーゲを知ってるの!?

あなたの奥さんって!美人?」

「桃太郎侍をTVで一番たくさん演じた
「役者の娘みたいなファニーフェイス!
「というより
「便秘を患う豚に似たおもろい顔かなぁ。

こんな顔!?」

刹那!のっぺらぼうに目!鼻!口が出現!

「あっ!おまえはサセ子!

バカめ!今ごろ気づきやがって!」
よくも殺してくれたわね!」

「うるせ~!

殺人鬼!白日のもとにさらしてやる!」

「だれがゆうれいのはなしなんか信じるか~!

今の会話」
みんなカード(記録メディア)に録音したんだよ」

「殺してやる~!

もう死んでるわい!」



「お~い!ゲン公!短小ぽこち~ん!

お~!だれかと思えば」
早撃ちソーセージのクマかぁ!」

「聞いたか!あそこのアシの中で
「しゃれこうべが見つかったんだってよ。

毎日散歩しているのに気づかなかったな」

「しゃれこうべが
「SDカードをくわえていたんだとさ。

すごいね」

「それ!うまく再生できたんだとよ。
「今日の午後
「警察が音声を公開するといってたな。
コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。