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いや!イヤ! ぽん!ポン! [はなしのはなし 食えぬ梨]



「三太夫さま!ありましたか。

あ!乳母(めのと)のお里どの」
この小鼓(こつづみ)では」
いかがでござろうか」

「それはたいそう立派なもの。
「さぞ若さまが喜ばれることでしょう。

12 歳にもなられたのに」
武芸にも乗馬にも興をおしめしにならず」
おにんぎょ遊びやら毛虫集めばかリ」
それが急に鼓に関心を持たれるとは」

「いいではありませぬか。
「これで少しはおとなになられるかも。



「じい!どうじゃ?

鼓の家元からひとつゆずってもらいました」

「おお!これじゃ!先日の月見の宴で
「鳴らしていたものじゃな。

御意」

「ところであのものたち
「イヤ!イヤ!といいながら打っておったが
「イヤならやめればいいものを
「どういうことじゃのう。

あれはそうではございませぬ」
ヤ~!というかけ声に存じます」
かけ声に個性がございまして」
イヤとかウヤとか聞こえるのでございます」

「さようか。
「では打ってみよう。

(コ)
(コッ)

「なんじゃこりゃ?!
「壊れておるぞ。
「これは “パチもん” であろう。
「どこの “バッタや” で買ったのじゃ。

若さま!お身分をお考えあれ」
パチもん(贋作)とか」
バッタや(偽物安売り店)とか」
西田辺駅の裏の」
創業以来保健所に叱られている某居酒屋の」
身も心も懐中も不健康な客どもが使うような」
大坂(おおざか)弁は使ってはなりませぬ」

「しかし!鳴らぬぞ。

かけ声もろとも」
強く打たねば鳴りませぬ」

「そうかぁ。
「イヤ~!

(ペシャ)

「イヤ~!

(ペシャ)

「イヤ~!いや~!イヤ~!

(ペシャ!ぺしゃ!ペシャ)

「あああ!指が痛い!
「腫れてきたのに!ちっとも鳴らぬ。

少しはお休みください」
半刻(はんとき)も」
打ちつづけてはなりませぬ」

「いや!やめぬ!鳴らしてみせようぞ。
「左手で売ってみよう。
「イヤ~!

(ペシャ)

「イヤ~!いや~!イヤ~!

(ぺッ!ぺっ!ペシャ)

「両手の指が全部腫れて!血が出てきたわい。



「ああ!鼓の音を聞いていたい。
「C D を買って参れ。

とはなりません。
C D もレコードもない時代ですから。

馬回り役の新之助が少し心得があるようです」
お殿さまにお願いして」
新之助を若さまづきにしたらいかがでしょう」

「おお!さっそくそうしよう。

新之助が 1 日中
イヤ~!ポン!イヤ~!ポンと
たたいておりますと
城中からクレームが出ました。

時間を決めてたたけ。
必要以上に鳴らすな。

しかたがございませぬ」
しばらくは連絡用に鳴らしたらいかがかと」
“茶” を所望されるときはひとつとか」
だれかを呼ぶときには 3 打ちとかと決めて」

「不本意ながら!そういたすことにしよう。

若さまが「茶」といえば
隣の間の三太夫が「イヤ~!」と叫び
さらにつぎの間の新之助が
「ポン!」と鳴らします。

「ポン!」が聞きたいので
若さまはしょっちゅう
なにかを所望しております。



「三太夫!どうじゃ。
「猪熊丸(いのくままる)は。
「強い名前をつけたのに
「おにんぎょ遊びばかりじゃ情けないぞ。

若さまは日々ご成長されておられます」

「余ももう 54 じゃ。
「40 過ぎて初めてできた男の子じゃ。
「それまで 16 人女の子ばかりだったのぉ。

「それはともかく
「来月にでも元服させて
「お家を継がせようと思うのじゃが。

それはそれはおめでとう存じます」

「さっそく段取りをいたせ。



若さま!元服されたら」
もうこどもじゃございませぬ」

「うん!心得た。

毎晩!お家のために」
夜伽(よとぎ)をしなければなりませぬ」

「そりゃ!なんじゃ?

女の人と寝ていただきます」

「お里のような乳母とか。

そんな大年増とは寝るのではありません」

西田辺駅の裏の」
創業以来保健所に叱られている某居酒屋の」
身も心も懐中も不健康な客どもの中に」
年上の女性としかセックスできない」
というものが 3 人いますが」

いずれも還暦を越えているかれらの」
年上の女性とは!なん歳でしょう?!」
考えるのもおぞましい」
おぞましいことと肝にお銘じください」

大年増はこどもができかねます」
若い女と寝てこどもを作らねばなりません」

「そんなめんどうなことはじいがやれ。

お殿さまのお役目のひとつです」
元服の夜にはさっそく」
お添臥(そいぶし)がいらっしゃいます」



お家の都合で!数えで 13 歳の元服。

6 歳のときから奉公している商家の丁稚なら
12 歳ともなれば
一人前に卑猥なことをいいますが
深窓の若さまには教育をせねばなりません。

若さま!この絵をご覧なされ」
女のあそこはこんな風でございます」

「なんじゃぁ!モモンガぁの仲間かぁ!

動物のモモンガは
手のひらにのるほどの愛らしいもの。
形はおなじでもムササビは
中猫くらいあります。

しかし!モモンガという
夜間に飛ぶ妖怪がいるようです。
強いていえば大きさから
妖怪にはムササビのほうが近いのですがね。
動物のモモンガには迷惑なはなし。

「女のあそこは余の顔より大きいのか!?

これは誇張して描いております」
実物はもっと可愛いものです」
若さま!お里どののあそこをご覧あれ」

お里どの!お願いしますぞ」

「やっぱり!モモンガじゃないか!

養君に性教育するのは古代から
乳母の努めでもあったようです。

そして覚えの悪い少年には
乳母は自分の体で練習させていたのですな。

たとえば!乳母で初体験をした天皇は
後深草天皇をはじめなん人も
記録が残っていると!その昔!
ガッコーの教科書にありませんでしたか。

高倉天皇とか花山天皇は
乳母にもう夢中になって!妊娠させています。
これらは受験勉強で覚えたもんですなぁ。

さあ!若さま!」
お里どのの中へ入れて稽古をなされ」
上になったらあせりは禁物ですぞ」

あ!もっとごゆっくり」
いや!それでは遅すぎます」
こういたしましょう」
じいと新之助のイヤ~!ポンに合わせて」
お腰をお振りなされ」



こちらは若さまの母君さまの実家。

「お城から猪熊丸さまの元服の夜の
「お添臥(そいぶし)の依頼がきた。

わが家は三十石七人扶持の低い身分ですのに」

「妹が側室になって産んだ若さまじゃ。
「元服のお添臥は母方から出すならわしなので
「身分は低いがそうなったのであろう。

「娘のヨリ子に行かせよう。

「ん!なに!?
「剣術道場の山籠もり鍛錬に行ったと?!

「ほんとになにを考えているのやら。
「もう 19 歳なのに色気もなく
「男といっしょに武芸のけいこばかリ。
「池波正太郎の剣客商売の三冬のようじゃ。

「今から呼びに行っても間に合うまい。
「それにすなおに添臥に行くとはいうまい。
「ああ!困ったのぉ。

お屋形さま」

「なんじゃ!奥。

身代わりに、、、!」

「身代わりにそちが行くというのか。
「なかなかの賢婦である。
「なんなら!もうずっと
「お城にいすわってもよいぞ。

養子のクセによくもまぁ!」
元の足軽の五男に」
もどっていただいてもかまいませんがね」

「ごめんちゃい。

お勝手の下働きの」
ヤリ子はどうでしょう」
ひと夜寝るだけですし」
名前も顔だちも年恰好もヨリ子に似ております」



「ヤリ子!いつも身を粉にして!エラいぞ。

とんでもごぜ~ません」

「金儲けの口があるのじゃが。

大川の冷たい水で大根洗いかね」

「そんなもんじゃない。
「ひと晩 1 両でどうじゃ?!

やめておきます」
そんな給金の高い仕事」
3 K (きつい!汚い!危険)に違いねぇ」
米俵かついで山に登るとか」
漬けもの石をひと晩抱いておるとか」

「きれいな仕事じゃ。
「ふかふかのふとんで寝るだけじゃ。

そんだらええ仕事なら」

「おまえは男を知っておるのか。

あれまぁ!だれでも知っております」
人でも猫でも犬でも」
キンタマぶらぶらさせておるのが」
男でごぜ~ます」
特にタヌキはよく分かります」

「そうではない!
「おまえは生娘かえ?

はぁ?きむすめとはどういう娘で!?」

「裸で男と寝て!股のものを
「くっつけあったことのない娘じゃ。

それなら生娘でごぜ~ます」
ここ 3 日ばかり生娘」

「どういうことじゃ。

4 日前に」
おら!ヤだというのに下男の六助が」
50 文やるからしようと押さえつけてきた」
みんな 100 文はくれるのに」
ケチなやろうでごぜ~ます」

その日は予約がなかったので
ま!少しでもないよりはましかと思い」
しました」
そんだら終わってから」
40 文しかないというのでごぜ~ます」
とんでもないやろうでごぜ~ます」

どうか給金から引いて!こちらにくだされば」
ありがたいのでごぜ~ます」

「けしからんやつじゃ!
「よしよし 10 文!いや 60 文さっ引いてやるぞ。



ヨリ子になりすまして
ヤリ子が添臥に行くことになりましたが。

「しゃべると都合が悪い。
「下女ということがバレる。
「恥ずかしそうにうつむいて “イヤん”
「“イヤ!イヤ!” とだけいっておれ。

「だがな!添臥であるから
「まだこどもの若さまを導かねばならん。

「“イヤん” といいながらも
「若さまのイチモツをもてあそべ。
「こすったり!頬ずりしたり!
「しゃぶったり!やさしくな。

「消極的なふりをして
「積極的に交わるのだ。

あれまぁ!そんだら難しいこと」
できますかなぁ」
お屋形さまのもので」
稽古させてくだせ~まし」

「してみるか!あ!いや!
「奥がいる前で!なにをいわせる。



元服の式次第は進んで夜になり
いとこのヨリ子と思っているヤリ子に
若さまはしがみついて
鼓のリズムに合わせております。

(イヤ~!ポン!、、、、、、、いや~!ぽん!)

(若さま!あせってはなりませぬ)」

(いや~!ぽん!、、、、、、、イヤ~!ポン!)

(ゆっくり!確実に攻めましょうぞ)」

、、、、、、、、、イヤ~!ポン!

(ああ!なんじゃ!この中途半端さは)」
(このまどろっこしさ)」
(ヘビのナマ殺しじゃ!)」

(ああ!もうがまんできぬわい!)」

イヤん!」

イヤ!いや!イヤ~!いや~!」

これ!早打ちにいたせ!」
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