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夕霧太夫のお見立て [平安京有情]

ちょっと見が可愛い女がふた股もみ股もかけていて
愛人同士が鉢合わせする場面を目撃したことが
2、3 度あります。

決まって!
ふたりの男はなぐり合いになりました。

血を見てケーサツや救急車を呼んだりしましたが。

でも!変ですね。
ふたりがなぐらねばならないのは
その女の方でしょ!

ふた股をかけている女が悪いのです!
悪いに決まっています。

そうじゃないのですねぇ!男たちには。

男はそれぞれ自分が本命で正当な存在で
たったひとりのオトコだと思っているんですね。

ば~か。



フーゾクの女に首ったけの中年男がいます。

奥さんがその女に殴り込みをかけました。

「2 度と亭主に会うな!」と。

おかしいでしょ。
きつくいいわたさねばならないのは亭主の方でしょ。

会いに行っているのは中年おじさんの方でしょ。
かの女はお店に座っているだけ。

亭主は奥さんのゆるんだ
態度やら肉体やらが気持ちが悪く
かの女のやさしさに魅かれているのですよ。

それなのに
奥さんは自分が優位!
正しい!素敵な女と勘違いしていますね。

あほ。



京都の嵯峨野の地図を見ると
「夕霧の墓」という文字があります。

夕霧とは「夕霧太夫」ですよね。
井原西鶴が好色一代男で
「類なき御傾城(おんけいせい)の鏡」と
絶賛している女の中の女。

京都の嶋原から大坂(大阪)の新町に移って
大坂で亡くなり
大坂の淨国寺で静かに眠っていましたよね。

私!ちゃんと!参拝していますよ。

京都の墓所とはどんなものでしょう。



嵯峨野の通称・嵯峨釈迦堂の清凉寺。
blog91.jpg

この裏というのか!北側ですね。

ん?!
墓地に出ましたが。
blog92.jpg

分かりません。
どれが夕霧の墓石なんですか。



「お見立て」という落語があります。

吉原に「張り店」あったころの噺(はなし)。
張り店とは店頭に女性をずらっと並べているところ。

客は品定めをして指名するのです。
それを「お見立て」というそうです。

田舎者のもくべえ大尽は
自分だけが愛人で夫婦同然で
たったひとりの心を許せる存在だと勝手に思っています。

相方の喜瀬川は手練手管で
そんな愛人もどきを山と持っています。

ある日!ショーバイとはいえ顔も見たくないから
死んだことにしました。

それでも帰らないから仕方なく
若い衆がもくべえ大尽をテキトーな寺に案内します。
テキトーな墓石を指して
「こちらです」

「養空食傷信士?!男でねぇか!」

「これです」

「天垂童子!?こどもでねぇか!」

「あれです」

「陸軍上等兵!?ばかやろ~!」

「それ!」

「天保 8 年?!いいかげんにしろ!」

「一体全体ホントの墓はどれだあぁ!?」

若い衆は困って
「よろしいのをお見立て願います」というオチ。



ああ!夕霧の墓が分からない。

よろしいのを
「お見立て」しなけりゃならないのかな。

私はもくべえ大尽じゃないのですが。
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