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蜘蛛の因縁 [手のひらを太陽に]

還暦を過ぎたいい年の
自称高級割烹のおじさんが騒いでいます。

騒ぐというよりパニック状態。
バカとしかいいようがありません。

店舗にクモ(蜘蛛)が出たのだそうな。
不潔だからか!自然いっぱいだからかでしょ。

それで!どうして私を呼ぶの?!
あたしゃ!あんたの親か保護者か!?
あんたは 3 歳児か?!
いや!
3 歳児なら思考が柔らかく
クモくらいでぎゃぁ!ぎゃぁ!騒がず
冷静に観察し対応するのかも。

ときどき出くわすクモに大騒ぎする人は
親の態度にならって身についたものか
それとも生まれついて備わっている嫌悪感か
どうなんでしょう。



大きなクモですね。
つまんで横にあった海苔の瓶に入れましたが。
blog1.jpg

ハシリグモですか?
アシダカグモですか?
クモの種類にはまったく関知したことがないので
分かりません。

大きさを比較するためにレジから 10 円玉を借用。

「写真を撮っているバヤイかぁ!」
「早く!殺せ!」
「瓶も 10 円玉もいらないから」
「いっしょに粉砕して捨てろ!」

あんたはバカの代表か!

このクモが
あんたの嫌いな!
そう!逃げた最初のヨメさんより嫌いな!
ゴキブリを退治してくれているんじゃないの!

感謝するのが善人のつとめじゃないの!



世の中にはクモ嫌いが多いのですか。

大昔のTVドラマの
「素浪人 花山大吉」(主演・近衛十四郎)では
強くて!酒とおからと女に弱い素浪人と
クモ嫌いのお調子者の渡世人のコンビが旅をします。

「クモ嫌い」を性格設定した
TVのドラマの嚆矢(こうし)かも。

ときどき時代劇専門チャンネルで
再放送しているそうですが
わが家にはデジタル受像機もなければ
ケーブル放送も契約していないので知りませんが。



阿部昭の随筆/蜘蛛ぎらい/を読むと

阿部の家にアシダカグモがよく出没するらしい。
出たら恐怖の興奮にかられ
手近の雑誌や本を投げ
殺虫剤のスプレーをむちゃくちゃ吹っかけ
命を奪っているらしい。

この人も心のないケダモノですね。



吉行淳之介の随筆/虫と恐怖心と女/に

柔道何段という逞しい男がいるが
この男がクモが恐い。
クモを見せると顔面蒼白になる。
こういう恐怖心の根源は
どういうところにあるのか。
男の場合のこういう恐怖心は
なにか精神の暗い部分を覗く気がする。

という文章がありますが。



そうですね!
あのこ汚い!あ!失礼!
いや!にぎやかな店舗のおじさんの
精神の暗い部分をのぞくような。

クモの因縁。
なにかの念の出現。
輪廻転生(りんねてんしょう)の因縁。
他生の怨念に憑(つ)かれていますね!可哀そうに。

そっと!公園の隅に放します。
10 円玉を返却したので 5 円玉を置いて写します。
blog2.jpg

あ!足が 1 本ない!
なにがあったのでしょうか。
見るのがつらいですね。



「もっと遠くへ持って行け」

うるせ~!勝手にほざいていろ!

「気持ちが悪い」といいながら
あの 10 円玉に洗剤をふりかけています。
前世の因縁のケチがついた 10 円玉。
まだ!つかう気なんだ!はは。



垣衣蛛網蒙窓牖
 えんいしゅもう そうゆうにこうむり

萬象縦横不係留
 ばんしょう じゅうおう けいりゅうせず

こけとクモの巣が窓をおおって
世の中が変転しても心は動かない

なんて心境になりたいもんじゃのぉ。



(敬称略)
漢詩は黄庭堅(1045 ~ 1105)作/
題槐安閣/新井健訳/を読んだべさ。
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