週休6日の谷口カレー

谷町筋を北にとり
谷町八丁目の交差点を過ぎてなお進むと
じみ～なビル（大阪市中央区）に人の出入りがあります。


「ピンポン食堂」と
「谷口カレー」の看板。
こんな事務所か倉庫のような（失礼！）ところに
レストランがあるの？！
昼食どきですので入ってみます。

入ったところもまた
なんの変哲もない
色気もないビルの通路のようなところ。

その奥にピンポン食堂はありましたが。
なんというか！
私たちは諸事情で
（ま！事情はひとつ！貧乏なだけですが）
仕方なく山賊のような
ゲリラのような宴をしていますが。

その場所は公道だったり！公園だったり！
渓谷のそばだったり！防波堤の影だったり。
屋上でも！倉庫でも！廃屋でも！廃トンネルでも！
ま！人に憐情を催させるような宴。

そんな会場にきたような。
失礼ながら！そんな第一印象。



食べものは「谷口カレー」しかありません。
辛さは 3 つ。
同じ値段なので一番辛いのを。


800 円。

そんなに辛くもなく
数分で完食しましたが。

大根と豆腐が入っているのは分かりましたが。
私の好みではありません。
香辛料！食材！その組み合わせ！
私の嗜好には合いません。



ふと！唐突に！
太平洋戦後の混乱期の闇市の
「大根カレー」を思い出しました。

親に手を引かれて
評判のライスカレーを食べに行ったこと。

あ！もちろん！私の体験ではないですよ。
ご老体がいっていたことを思い出しただけですが。

「並んで待って食べたライスカレーがね！」
「あ！カレーライスじゃないよ！ライスカレーだからね」

薄いスープに大根が入っていたそうな。

「まずい！まずいのなんの！」

食糧不足は慢性化していて
うまいものなんて皆無の毎日だったそうですが
その評判の「大根のライスカレー」は
今までの人生の中で一番のまずいものだったそうです。

「いやなら出てって！大勢さんが並んでいるんだから」
とても変な顔をしていたのでしょう！
目ざとく見つけたそこの主が怒号を発したとか。



でも！動乱期にも
今の「谷口カレー」にも
大勢の人がやってきていますので
おいしい人はおいしいのでしょうね。
すみませんでした。



この「谷口カレー」は
木曜日だけの営業。
金曜日から水曜日までは「ピンポン食堂」らしい。

つまり「ピンポン食堂」の休日に
「谷口カレー」が間借り営業しているようです。

不思議な店の
不思議なカレーでした。