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コオロギと閑古鳥 [手のひらを太陽に]

コオロギが鳴いています。

飛鳥の里からやってきたコオロギじゃありません。
それらは全部死んでしまったので
せっかく大枚はたいてもとめた飼育箱が寂しく
ペット売り場から 6 匹買ってきたのです。

鳴き声が悪い(?)のですが。

飛鳥の里のコオロギは
なじみのある美声(!)だったのでエンマコオロギかな。
ペット売り場にいたコオロギは体色が薄く
体格も小さく
つぶれたような声(?)でうたっています。
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なんというコオロギか聞きに売り場に行ったら
ちょうど!お食事時間!?
トカゲたちがそのコオロギの兄弟をもらっていました。

ちょっと複雑な心境。
なにも聞かずに帰ってきました!はは。



初冬の昼夜
ち!ち!ち!ち!ち!ち!ち!ち!ち!ち!ち!

ま!これはこれで情緒がありますが。
なにはともかく!寂しいものです。

映画「ラストエンペラー」では
コオロギに始まってコオロギで終わりました。

北京の故宮(紫禁城)まで
その頭と終わりの撮影現場に
コオロギを探しに行ったのはいつだったのやら。

コオロギには会えず
コオロギはなにを示唆していたのか
阿呆には分からず
無情とときの流れの重量感に落ち込みましたが。

コオロギが節目節目に出てきて鳴くのは
ベトナム映画「青いパパイヤの香り」でした。
これもなんともいえない寂寥感だけ残ります。

そこにはまだ行くことがかなわずいますが。



「コオロギ?」
「ウチは今日も閑古鳥(かんこどり)が鳴いてる!」

居酒屋のおじさんがいっています。
風流ですねぇ。

「風流なもんか!」
「ところで閑古鳥ってなんやの?」

知らずにいっているんですか!?

「うきわれを さびしがらせよ かんこどり」

元禄 4 年(1691)芭蕉 48 歳!晩年の句があります。

「カッコウ!カッコウ!」と鳴いて
まぁ!山深いところで聞けば寂しいもんでしょう。
「カッコウ(郭公)」が閑古鳥でしょう。

ここは都会の中なのに!
すごい!
ここは深山幽谷!?
すごいじゃないの!よっ!大統領!

「帰れ~!」



「語らふごとに死出(しで)の山路を契(ちぎ)る」

方丈記/鴨長明(1155 ~ 1216)著/に
「郭公」がありますが。

死出の旅路を道案内してくれるかのようなのが
カッコウの声なのでしょうか。

ただし「郭公」をここでは
「ホトトギス」と読まねばならないらしい。

「カッコウ」と「ホトトギス」は同じ鳥じゃないはず。

日本野鳥の会のフィールドガイドを見ると
どちらもホトトギス科
見かけはよく似ていますが。

しかし!「カッコウ」と鳴くのは
「カッコウ」だけのようです。



柳田國男(1875 ~ 1962)著/遠野物語/には

「郭公(かっこう)と時鳥(ほととぎす)は」
「昔ありし姉妹なり」

とありますね。

妹が勘違いから姉を包丁で刺し殺し!
自分も死んで両者鳥になり
姉は「ガンコ!ガンコ!」と鳴き
妹は「包丁かけた」と悔やんで鳴くとありますが。

遠野物語には
寂しい鳴き声の鳥は他にも
「閑古鳥」「オット鳥」「馬追い鳥」
なんかが出ていますが
「閑古鳥」はたぶん「カッコウ」だと思いますが
他はどんな鳥やら。



物集高量(1879 ~ 1985)著/
百三歳。本日も晴天なり/に
「ホトトギス」の異名が 14 書いてありました。

鵑(ケン)
杜鵑(トケン)
宇(トウ)
望帝(ボウテイ)
蜀魂(ショクコン)
不如帰(フジョキ)
不如帰去(フジョキキョ)
子規(シキ)
時鳥(ジチョウ)
苦帰楽鳥(クキラクチョウ)
三月すご鳥(ミツキスゴドリ)
うない鳥(ウナイドリ)
死出の田長(シデノタオサ)
沓手鳥(クツテドリ)

あれ?!「郭公」はありませんね。



ほとんど「杜宇(とう)」からきている単語かな。

望帝杜宇は死んでホトトギスに化身。
唐突に!なぜか唐突にホトトギス!?
そして悲しいことに
自分の国が秦に滅ぼされるのを見て
血を吐くまで鳴いて再び死んだそうな。

秦の始皇帝が出てくるくらいですから
相当大昔のことでしょうけど。

それであんまり縁起のいい鳥じゃないようです。

正岡子規(1867 ~ 1902)は肺結核にかかり
やがて血を吐いて死ぬだろうと思い
ホトトギスすなわち
「子規」と号したといわれています。

ただし!罹病する前から
子規と名乗っていたという人もいましたが。
俳句には暗いのでよく分かりません。



「よく分からん!」

いっている私もよく分かりましぇ~ん。

でも!冬に夏の鳥のはなしもいいもんでしょ。
暇だし。
もっと風流に
コオロギ!持ってきてあげましょうか。
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「そんなゴキブリみたいなもん!いらんわい!」

虫魚禽獣!ペットの類はみんなダメ!
年増女しか興味のないおじさんですから
コオロギの声もカッコウの歌も
理解できないでしょうなぁ。

ま!閑古鳥の歌声をひとりで聞いてなさい。



(敬称略)
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