SSブログ

宝塚の巡礼の道 [町道!街道!眠り未だ足らず]

宝塚市の清荒神(きよしこうじん)に
参詣する人が蟻の行列をしている道から
中山寺への分岐道がありました。
blog01.jpg

これが知る人ぞ知る「巡礼の道」ですか。

住宅街をすり抜けて静かな道がつづきます。
ときどき追い抜いて行く人
向こうからきてすれ違って行く人
なん人か歩いていますね。

巡礼ではないような。
フツーのハイカーでしょうか。

巡礼。
人はなぜ歩くのでしょうか。

千日回峰行を 2 度も成し遂げた
酒井雄哉(1926 ~ 2013)大阿闍梨(だいあじゃり)は
著書「一日一生」に書いていました。

「歩くことは人間を振り出しにもどしてくれる」

明治の終わりには
若山牧水(1885 ~ 1928)も若い。
旅や巡礼にあこがれていたようです。

  けふもまた こころの鉦(かね)を うち鳴らし
  うち鳴らしつつ あくがれて行く



ほどなく中国自動車道を越えたら
各種シイの大樹の中に売布(めふ)神社が。
blog02.jpg

ちょっとなつかしい。

宝塚市で初めて訪ねたところかも知れません。
昨日食べたものも忘れているのに
妙に生々しく思い出しました。
「恋愛の神」だったような。

ご利益はありません!私には。
神さまのせいでもないでしょうけど。



ああ!どなたか聖人が
救いの手を挙げてくださっているような。
blog03.jpg

「黙想の家」とか。
畏(おそ)れ多いので急いで通り過ぎます。

この道は六甲山の背骨に並行していますから
道に高低差は少ないのですが
道から外れて北側に向かえば
どんどん高くなって行きます。



池のほとりを過ぎて巡礼の道からはずれ
坂になっている道を上ります。

高台のさらに階段を上ると
八角形の墳丘が珍しい中山荘古墳。
blog04.jpg

ああ!見晴らしがいいですね。
blog05.jpg

だれが眠っているのでしょう。
だれがここに造ってあげたのでしょう。

「げに なにごとも 一睡(いっすい)の夢」
「南無三宝(なむさんぽう)南無三宝」

謡曲の邯鄲(かんたん)が
流れる雲から聞こえたような。



元の道にもどり進めば古い道標「西国橋」が。
blog06.jpg

中山寺に無事到着。
blog07.jpg

西国三十三所第24番札所。
本尊は十一面観世音菩薩。
日本最初の観音霊場と聞いていますが。

  観音大悲は舟いかだ
  補陀(ふだ)落海(らくかい)にぞうかべたる
  善根もとむる人しあらば
  乗せて渡さむ極楽へ

後白河法皇(1127 ~ 1192)撰/梁塵秘抄/にも
歌われている観音信仰。
大はやり(失礼!)の時代があったのでしょうか。



あ!やはり北側に
高く高く石段が上っています。
blog08.jpg

有高稲荷大明神。
きれいな神社ですね。
上がって行く勇気はないのですが。

そんな人もいるらしく
一番下に賽銭箱が置いてありました。
ご親切に。

道が紛れてきましたが
古い「中山寺」の道標がありますので
ま!大きくははずれてはいないでしょう。
blog09.jpg

浅学にして聞いたこともないのですが
「トントコ祭り」で有名という天満神社があり
境内に「行基の投げ石」がありました。
blog10.jpg

行基(668 ~ 749)の足跡がここにもありましたか。
というより!行基信仰があったのでしょうね。



江戸時代には将軍交代時に
「守護弓」を献上していたという松尾神社。
blog11.jpg

この周辺は住宅街が広がってきたとはいえ
植木・造園・園芸の業者だらけの中を行きます。
blog12.jpg

阪急・山本駅前に
木接太夫(きつぎだゆう)彰徳碑がありました。
blog13.jpg

木接太夫は征夷大将軍・坂上田村麻呂の子孫の
坂上善太夫頼泰のことらしい。

画期的な接ぎ木法を確立したので
豊臣秀吉が「木接太夫」の称号を与えたとか。
それでこのあたりが
植木・園芸品の大生産地になったのですね。

あ!
坂上田村麻呂の幼名が松尾丸でしたか!
だから!先ほどの神社が松尾神社なんですね。



彰徳碑の前に「巡礼街道」の道標があります。

これを見ると
ここから巡礼の道が始まっているようですが。

よく考えると
これは「宝塚市だけの巡礼街道」の道案内。
西国三十三か所・観音信仰の巡礼の道の
ほんの一部じゃないでしょうか。

私に信仰心はないのですが
いにしえの人がどのようにして歩いていたのか
いつか!たどって見たいような気もあります。

たどれば!咲いている花が見られるような。

「秘する花を知ること」

世阿弥(1363 ~ 1443)は
著書/風姿花伝/に書いていました。

世阿弥のいう「花」は能の技術のこと?!
私の思う花ではないでしょうが
曲解して!納得して!
「花」を探しに行きたい!春がくれば。



(敬称略)
コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感