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雨中の造幣局 桜の通り抜け [解語の枯れ尾花]

糸桜 こやかへるさの 足もつれ

松尾芭蕉(1644 ~ 1694)の
若いころ(24 歳)の作。
もうひとつ「糸桜」の句があります。

芭蕉は生涯に 970 あまりの句を残していますが
「桜」とか
桜とおぼしき「花」の句は
80 句越えているような。
比較的多いのじゃないでしょうか。

「桜」が 10 句あまり。
「花」が 60 句あまり。
桜の品種名が推察できそうな句が 10 句足らず。

その中で「犬桜」は犬の尾のような
ブラシ状の花のことでしょうから
今!考察から除外します。

「八重桜」は
たぶん「ナラノヤエザクラ」という品種。

「姥桜(うばざくら)」はヒガンザクラの類かな。

「児桜(ちござくら)」は山桜の仲間でしょうか。
「山桜」は合わせて 5 句を数えます。

では!
「糸桜(いとざくら)」とはなんでしょう。



折しも(2015/04/09 ~ 15)
「造幣局の桜の通り抜け」が開催されています。

「通り抜け」は 132 種 350 本
品種の保存林の態をしているので
雨中なのに観察に出かけます。

「糸桜」は見あたりませんね。

「松前琴糸桜(まつまえこといとざくら)」は
ありましたが。
blog01松前琴糸桜.jpg

しかし!この品種は
昭和 34 年(1959)作出だそうですから
芭蕉のころにはありませんね。

「糸括(いとくくり)」という桜が。
blog02糸括.jpg

なんだか
芭蕉の「糸桜」の句に似合わないような。



かすむ目に とほすや針の 糸桜 (春可)

咲かぬまを まつやしんくの 糸桜 (三藐院)

という句が安楽庵策伝(1554 ~ 1642)著/
醒睡笑/にありますが。
芭蕉の句より半世紀近く前の句。
「まつやしんくの」は漢字で書けば
「待つや真紅の」でしょうけど
「真紅」と「辛苦」をかけているのでしょう。
「侘(わ)び句」の前の時代ですか。

それはともかく「糸桜」は
昔からあることばですね。
昔からある樹木ですか。

合本 俳句歳時記(角川書店編)を見ると
「糸桜」は
「枝垂桜(しだれざくら)」の別称だそうです。

ここに咲いている多くの桜が
枝垂れていますけどね。

「通り抜け」に
最多 60 本を越える関山(かんざん)も
枝が垂れているといえば垂れていますが。
blog03関山.jpg

「枝垂」の名を持つ桜は
「枝垂桜」
「伊豆最福寺(いずさいふくじ)枝垂」
「雨情(うじょう)枝垂」等がありますが。
やっぱり芭蕉や春可の句には
この「八重紅(やえべに)枝垂」のように
細い糸のような枝でなければいけませんね。
blog04八重紅枝垂.jpg

すっきりではないけど
なんとなく解決。

あとは気楽に見て帰ります。
といっても雨が気楽にさせてくれませんが。



「染井吉野(そめいよしの)」の姉妹がいました。
「天城吉野(あまぎよしの)」!
blog05天城吉野.jpg

両親が
「江戸彼岸(えどひがん)」と
「大島桜(おおしまざくら)」だそうですが。
「染井吉野」とよく似た花期かな
もう散ってしまっていました。

母の「大島桜」は今を盛りと咲いていましたが。
blog06大島桜.jpg

父の「江戸彼岸」は探せませんでした。
「江戸」という桜はありました。
blog07江戸.jpg

「江戸彼岸」とはちょっと違いますか。



「造幣局 桜の通り抜け」の
今年の花は「一葉(いちよう)」
新しい桜は
「園里黄桜(そのさときざくら)」だそうですが
リーフレットの表に紹介されていた
「大手毬(おおてまり)」と
blog08大手毬.jpg

「紅手毬(べにてまり)」が
blog09紅手毬.jpg

雨に濡れて重そうに咲いて
人気を博していました。

雨中のヘタな撮影ですから
色が実物のように再現できず!すみません。



今年はなぜか
2 度も「通り抜け」にきてしまいました。
これで!
今年の大阪の桜の季節は終わります。
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