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夫婦善哉にはない 踊りたこ焼き [食い意地]

織田作之助の短編小説の
「夫婦善哉(めおとぜんざい)」の主人公の蝶子は
愛人(大阪弁でいうてかけ)の就職口(!)を蹴って
苦労に苦労を重ねます。

お妾(てかけ)さんなるのは
母親も内心喜んでいるのにね。
きれいな仕事で!ラクして!給金がいいんです。

特に蝶子の最初の口は
愛人をなん人もかかえる材木屋だったようで
年令は分かりませんが
老体で愛人多数ならよけいにラクですよ。

あまり激しくないから。
知らんけど。
この方面には詳しそうな
アラフォー(around 40)の
おね~さんに聞いておきましょう。

あ!あのおね~さんは
うんと若いオトコ好みでしたね。
激しい方の。
知らんけど。



「こそぐられますばつかりと隠居の妾」

という雑俳が
19 世紀初頭の「壁に耳」にあるようですが。

「こそぐられる」とは「くすぐられる」こと。
隠居(老人)はあまり激しいことはしないのですが
やたら若い女体をさわっていたいものらしい。
知らんけど。

それは大昔からあったようで
平安時代の紫式部なんかのキャリアウーマンは
うんと年の離れた夫か愛人かが
四六時中さわってくるものですから
うっとうしくて
それで宮仕えに行ったとか!行かなかったとか。



だいたいこういう妾奉公のはなしは
蝶子の場合のように
母親がすすめるもののようですけど。

假名垣魯文作/安愚楽鍋の
「異妾(らしやめん)」もそうでしたか。

明治になったばかりのころ
15 歳のとき(かぞえで 13、4 歳)
給金に魅(ひ)かれた母親に尻を押されて
外人の妾になったはなし。(拙ブログ 2012/01/20

結果!その彼女はとても喜んでいますけど。



そういう私には似合わない(?)はなしはさておいて
「夫婦善哉」には
今でいう B 級グルメがたくさん出てきます。

蝶子の父親の生業(なりわい)の一銭てんぷら。
高津(こうづ)の湯豆腐。
夜店のドテ焼きに粕まんじゅう。
「しる市」のどじょう汁に皮鯨(ころ)汁。
「出雲屋」のまむし。
「たこ梅」のたこ。
「正弁丹吾(しょうべんたんご)亭」の関東煮(かんとだき)。
「寿司捨」の鉄火巻きと鯛の皮の酢味噌。
「だるまや」のかやくめし。
「自由軒」のライスカレー。
竹林寺横の焼き餅。
「夫婦善哉」のぜんざい。

大正の終わりから
昭和の初めのころの B 級グルメ。
今では「 B 級」ではなくなった食材もありますが。

余談ですが今は亡き
このあたりで浮名を流した明治生まれの女性は
「正弁丹吾亭」を
「しょんべんたご」と発音していましたけど。



「夫婦善哉」のだらしない男・柳吉は
キタの安化粧品問屋のあほ息子ですが
キタにはうまいものはないというのです。

上掲の食べものはみんなミナミのものです。

今のミナミの
いや!大阪の B 級グルメは

たこ焼き!お好み焼き!ホルモン焼き!
かすうどん!串かつ!焼きそば!

ちょっと考えただけでも
そんなものが浮かびますが。
隔世の感がありますね。



千日前商店街も「粉もん」だらけ。
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柳吉は知らないでしょうね。

ん?!
「踊りたこ」!?
「踊りたこ焼き」?!
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「たこ焼き」に造詣が深い訳じゃないのですが
だいたい知っているつもりなのに
まったく見たことがないものです。

お!
タコがイイダコ!
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イイダコを丸のまま入れています。
よく返せるものです。

外人旅行者に混じって買ってみました。
「おフランス人」のふりをして。
焼いているおにいさん!
他の人には「つ~」だの「ふぁいぶ~」だの
怪しげな英単語で応対していましたが
私には「6 個入れまひょか」と大阪弁。
むむむ!私!日本人だとバレてます?!

6 個 500 円。10 個 800 円。
丸くなって仕上がっています。
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でも!裏返せば!やっぱり!
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足が出ていました。
この足が踊っているようだというのですね。

すでに十数年前から
兵庫県篠山市あたりで
有名になった「たこ焼き」だそうですよ。

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