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ゴーストタウンもあるワニの里 [野道!山道!恋はけもの道!]

JR桜井線(万葉まほろば線)の
帯解(おびとけ)駅を降りました。

「おびとけ」とは
他にあまり例のない駅名ですね。

同じ字を書いて「おびとき」と読めば
七五三の 7 歳の女の子のお祝いかな。
このときから
つけ紐のないきものを着るようになるのですね。

それはともかく「おびとけでら」があるから
この駅名になったのでしょう。

「帯解寺はどちらでしょうか?」

無人駅ですから聞く人がいないのか
上品そうな老婦人が
ふてくされたような顔で小汚い服装の私に
おびえることもなく問います。

あ!私もそちらに参りますから。



駅からすぐ近くです。
案内があります。
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以前はたしか
美智子皇后に安産帯を献納したとだけありましたが
つづいて妃殿下の名前も書いてあります。

帯解寺です。
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天安 2 年(858)文徳天皇の勅願により建立され
帯解寺の名を賜った由緒ある
安産・子授けの寺だそうですので
よくご祈願ください。

「あら!この年で、、、ほほほほ」

おばあさんを喜ばせて別れます。
と思ったらついてくるじゃないですか。

「円照寺はこちらでしょうか」

じゃ!途中までごいっしょしましょうか。

駅からずっとおじいさんが後につづいています。
老カップルかと思っていたのですが
JRの車中で知り合ったばかりだとか。

この道標をたどってくださいね。
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「山村御殿って?!」

その円照寺(圓照寺)のことですよ。
歴代の門跡が皇女だったためでしょう。

現代でも先代の山本静山禅尼は
三笠宮・大正天皇第四皇子と
双子だったといわれています。
公には秘密ですが。

いかに軍国主義の中とはいえ
運命に翻弄される人たちの心境を思って
気が遠くなりますね。(拙ブログ 2011/01/13

老カップルはハトが豆鉄砲を食ったような顔。
どの程度心に響いたものか知りませんが。



円照寺の森が見えるあたりでふたりと別れます。

仲良く歩いて行きましたが
山中で間違いが起きなければ、、、
ま!起きてもいいですか。
あの年令では
帯解寺で腹帯をもらうようにはなりますまい。

東海自然歩道の北・山の辺の道をたどれば
古刹・弘仁寺。
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いつもは入山料が払えないので
う回して歩くのですが。

「十三まいり」の寺でしたか。
すると!本尊が虚空蔵(こくぞう)菩薩ですか。
弘法大師が像を安置したそうです。

寺の歴史は分からないほど古く
小野氏が建立したらしいとか。

このあたりに
和爾(わに)!小野!春日!大宅(おおやけ)!
柿本(かきのもと)の氏族がいたと
寺で聞きましたが。

私が昔どこかでレクチャーされたのは
大きな存在の和爾氏がいて
そこから小野氏等の多くの氏族に
分かれて行ったということだったような。

和爾氏は中臣氏(藤原氏)によって
消されたと覚えていたのですが。
ま!記憶が混濁していますからね。

弘仁寺に算額が 2 枚奉納されていました。
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消えかかっていますね。
また!時間を作ってきて問題を読んでみたいもの。



弘仁寺の山を下れば
民家に豆柿がいっぱい実をつけていました。
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「ぶどう柿」とか呼ばれていましたが
昔は柿渋を取っていたらしい。

どうぞとすすめられました。
真冬の深山で
鳥にも食われず奇跡的に残って
黒変している熟柿の味に似ています。

変な表現ですが早いはなし!
あまりおいしくはありません!すみません。



白川ダム。
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地元の人はため池と呼んだりしていますから
ほんのこの前までもっと小さな池だったのかも。

この池が大きくなったので
沈んで消える和爾小倉古墳群のいくつかが
近くに引っ越し(!)しています。
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雲が白く!空が青い。
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人はどこからきて!どこへ行くんでしょうか。
ベンチに寝ころんで
非生産性な思いしか浮かばない阿呆です。

ん!?
ふり返れば!
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あんなビル群!昔からありましたか。

「ゴーストタウンですよ!だれもいません」

少年野球かなにかの試合に応援にきていた
老爺が答えてくれました。

「昔は数千人が住んでいたよ」

日本にすごいところがあるのですね。



では!ゴーストタウンに向かいます。
まっすぐ行けそうもないので大きくう回。

あ!?
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名阪国道の上を越えている道は私道!?
天理教の道?!

すごいですね。

ああ!
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これがさっき聞いたゴーストタウン?!
実にたくさんの建てものがあります。

すごいですね。
みんな!どこへ行ったのでしょう。



ゴーストタウンの横に赤土山古墳。
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種々の埴輪(はにわ)が出ているのですね。
どんな人が眠っているのやら。
和爾氏との関係は分からないようですが。

近くに和爾下神社がありました。
この神社は古墳の上に建てられているとか。

神社の近くに柿本人麻呂がいました。
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柿本寺の跡らしい。
柿本氏も和爾から出たのですよ!きっと。
確証なんてないですけど
和爾氏の存在が垣間見られる里ですから。



栄枯盛衰!あざなえる縄の如しでしょうか。
それとも水に落ちた犬は
永遠に浮かぶことがないのでしょうか。

とんちんかんにも

天雲 棚引山 隠在 吾下心 木葉知 (1304)

万葉集の中の人麻呂の歌を思い出したりして。

あまぐもの たなびくやまの こもりたる
わがしたごころ このはしるらむ

なぜ!下心を木の葉だけが知っているのでしょう。

色が変わるからでしょうか。

私のささやかな下心(!)も色あせて
秋が行ってしまいましたね。



(万葉集の訓読は)
(佐佐木信綱編/新訓万葉集/を読みました)
タグ:円照寺
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