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性同一性障害の居酒屋 [西田辺探検記]

「ちょっときて~!」

居酒屋の女将からでんわ。
エアコンが壊れたとか。

衣(きぬ)を裂くような声なら
行く気も起きるのですが
ボロぞうきんをしぼるような声に
はぁ~とため息交じりに重い腰を上げて
しぶしぶ行っても
壊れたエアコンを
私ごときがどうしようもありません。

「どこかに安く売ってない?!」

この大きなエアコンは業務用ですね。
それなら割り引き率はいいはず。
標準価格から
80%は充分引いてくれるんじゃない!?

「20 万!?」

それ以下で買えますよ!たぶん!
機能があまりないものなら。
ただ!その上に工事費もそのくらいかかりますよ。

「それは!いや!」
「あんたがつけて!」
「ビール飲み放題にするから」

ビールはいらん!
現金をください!

と!冗談をいっているバヤイじゃありません。
鉛筆より重いものを持ったことのない
雅な(かどうかはさておき)身で
できる訳がないでしょ。

「だれかビール飲み放題」
「私とデートがほしいままにできる権利つきで」
「探してきて~!」

余計に気持ち悪がってだれもきませんよ。



「テントが抜けた~」

別の飲み屋のおばさん!いや!
美人(という人も少しはいる)ママからでんわ。

店舗の周囲にスカートのように巻いている
庇(ひさし)のようなテントですか。
なにも抜けていません!
支えているパイプが腐食して落ちたのです。

「じゃ!パイプ!つないで」

つなげる訳はないでしょ!
あちらもこちらも腐っています!
専門業者に連絡してください。

「2 万円くらいでなんとかなるかしら」

材料代にもならないでしょう。

「じゃ!材料をコーナンで買(こ)うてきて」
「あんたがつけて!」

常連客の中に
建築屋も店舗改装屋も
大工も看板工も電工も僧侶もいるじゃないですか。
僧侶はどうか知りませんが。
パソコンのマウスしか握ったことのない私が
ねじまわしもハンマーも握れる訳ないでしょ。

「お客には頼めない!変に勘違いされる」

なにをいっているんですか。
ゼニのためには勘違いがなんですか!
体を投げ出すというおばさんが!
ほら!ナイショですが!そこにいますよ。

ま!普通に考えたらありえないと思いますが
世の中!好事家もフェチもいますから、、、。



「あんたなら」
「なんでもできそうな顔をしている」なんて
横柄な態度をしているらしく
よく買いかぶられますが。

困ります。

顏と体力・能力とは違います。
ホントはとてもデリケートでか弱いのです。
自分でいうのもなんですが。

それに根性は
アニメの「おじゃる丸」くらいになまけものです。



TVで「性同一性障害」の話題が
とりあげられていました。

仕込みをしていた
こ汚い(という人もいる)居酒屋が
「なんのこっちゃ!?」と
配達にきた酒屋のパートのおばさんに
聞いていました。

「心と体が違うという“性”の問題じゃない」

「あ!わしや!それ!わし」

「うそやぁ!マスターはただのどスケベ」
「女好きやんか!女ならだれでも“行く”やんか」

「ときどきチャンスがめぐってきて」
「ね~ちゃんを押さえつけられるんやけど」

「ね~ちゃんというより!」
「いつもの深夜の不良おばちゃんやね!」

「相手がほぼ観念したのに」
「そんなときに限って!特に最近!」
「体がいうことをきかんのや!」
「つまり!心はファイトいっぱい!」
「体はたたんだ小田原ちょうちん」

「?」

「つまり!心と体が違うんや!性同一性障害」

「それは違うんじゃない」
「あそこに注射で青汁か豚汁でも打ってもらったら」
「忙しいから帰る!」

酒屋のおばさんはあきれて出て行きました。

あたいも帰る。

「なんか飲んで行ったら」

ただ!なの?

「勘定はしっかりもらうけど」

じゃ!いいです。
あたいは心と体は同一でも
懐中が違うもので。



(性同一性障害の方!ごめんなさい)
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