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ワイン煮味噌仕立て粕汁 [半煮え!生煮え!]

「てんかす」という大阪弁。
あんまり上品な響きがありません。

「あげだま」と呼んだらいかが。

「あげだま」は「揚げ玉」!
ささらなんかで衣を振り落として作る料理!
「てんかす」は「天滓」!
てんぷらを揚げた後に浮いているもの!と
教えてくれた板前崩れもいましたが。

「さけかす」は
全国的に「さけかす」でしょうか。

漢字で書いたら「酒粕」または「酒糟」
「滓」じゃないのですね。



明朝末期(17 世紀)の笑話集の笑府に
酒粕のはなしがあります。

貧乏で酒に弱い男が
酒の粕を丸めたものを
ふたつ食べたら酔っぱらいました。

友人に「飲んだのか」と聞かれて
「酒粕を食べた」と答えます。

妻が「体裁を考えて酒を飲んだ」と
いいなさいといいました。

そこでつぎに「酒を飲んだ」といえば
「燗(かん)か冷やか」と尋ねられて
「焼いて飲んだ」

また女房に「燗した」と答えろと叱られて
つぎにそう答えたら
「どれくらい飲んだ?」と聞かれます。

「これくらいの!ふたつ」



上方落語には
「酒の粕」という噺(はなし)がありましたね。

やっぱり貧乏で!下戸で
あまり血のめぐりが芳しくない男が
酒粕を食べて酔っぱらって
威丈高(いたけだか)に
「自分は大酒飲み」といいます。

「今日はどのくらい飲んだ?」と聞かれて
「大きいのを 2 枚」と答えて恥をかきます。

「武蔵野で 2 杯」というようにと知恵を授けられ
つぎにそういうと
「あてはどうした?」と聞かれ
「黒砂糖」と答えて
やっぱり恥をさらします。

つぎに「タイ(鯛)のぶつ切りで飲んだ」といえば
問われたのが「燗か!冷やか?」

「よう焼いて」というのがオチですが。

余談ですが
この無知の男のように無学をさらしますが
「武蔵野」とは見たことがありませんが
大相撲の優勝力士が持っているような
蒔き絵かなんかが描かれた大きな杯でしょうか。

「あて」とは
「付録」または「あてがう」という意味の大阪弁。
藤本義一の解説ですがね。
酒の肴ですな。

この日中のふたつのはなし!よく似ていますね。
笑府の方が断然古そうですが。

ちなみに上方落語の方は「板粕」ですね。
中国の方は丸めた粕のようですが。



昨年の秋の酒粕がまだあります。
よく熟成していますな。
腐ってはいないでしょうね。
ま!なんとか食べられそうです。

粕汁を作ります。
と!宣言しても十分な材料がある訳じゃなし。

芽の出かかったジャガイモと
先日!泉州で買ってきた(拙ブログ 2015/11/24
エシャロットみたいな大きくないタマネギを
皮をむいただけで鍋に入れ
豚のこま切れ肉も入れ水煮。

日本酒が切れていたので白ワインをどぼどぼ。
到来ものですからどぼどぼと。

腐れかかった!いや!よく熟した酒粕を加え
キャベツをどさっと入れ
冷蔵庫に残っていた油揚げも加え
先日!洛北で買ってきた(拙ブログ 2015/11/19
手作り味噌で調味。

この手作り味噌がおいしいの!なんの。

最後に賞味期限切れまぢかの天かす!
いや!揚げ玉を振りました。
blog酒粕煮.jpg

おフランス風白ワイン煮味噌仕立て。
ということにしておいてください。



(酒の粕は笑福亭松鶴 上方落語)
(笑府は松枝茂夫訳を読みました)
(敬称略)
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