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清少納言 残影 再訪 [平安京有情]

最後に毒液をもって驚かし
追い立てなければならない人間とは
いったい
なんという存在であろうか?

唐突にリルケの詩の断片を思い出しました。

「鳥戸野(とりべの)陵参道」の
碑のある石段を上ります。
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観光場所でもないのでしょう!
なんの説明板もありませんが
このあたりにきたら
つい!立ち寄ってしまいます。

それでもときどき訪ねる人があるのか
歩きにくいので十分注意するようにと
宮内庁のやさしい立札。
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この陵(みささぎ)に
中宮・定子(ていし 977 ~ 1001)が眠っています。
享年 24 歳ですか。
美人薄命ですか。

叔父の藤原道長に毒(?)を盛られたのですね。

このあたりは陵が集中している王家の谷のひとつ。
宮内庁の管理がいきとどいているところでしょう。
ついでに(!)ここの管理もいいようです。
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定子は数え 14 歳で
3 歳年下の一条天皇に入内(じゅだい)します。
一条天皇は数え 11 歳で元服したのです。

元服した夜には添臥(そいぶし)があります。
女性と寝なければならないのです。
仕方がないのです。
でも!うれしいです!知らんけど。

添臥の女性は
母方の親族の年上の女性が
つとめる場合が多いと聞きます。

11 歳の元服ですから
やさしいおね~さまに添い寝してもらうのが
いいのでしょうね!知らんけど。

一条天皇の母は定子の叔母さんですね。
ふたりはいとこ同士になるのですね。

一条天皇は定子をたいへん気に入って
そのまま女御(にょうご)になり
ついで皇后!さらに中宮になったようです。

それから亡くなるまでの 10 年間。
前半 5 年がしあわせなとき。
後半は
叔父の藤原道長に毒(!)を盛られるばかり
悲しいことの方が多いかも。

なごんちゃん(清少納言)は
その前半期の終わりごろから
亡くなるまでつかえたのですね。



この陵に 7 方の
皇后・皇太后の女性ばかりが埋葬されていますが
定子以外は火葬とあります。
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煙とも雲ともならぬ身なりとて
草葉の露をそれとながめよ

との辞世の句から
火葬にしなかったといわれていますが!はたして。

なごんちゃんのいう「宮さま」は定子のこと。
定子だけなんですね!宮さまと呼んでいるのは。
それなのに
あんまり宮さまの記述がないような。

特に大事件の
定子がなくなる前後のことは
枕草子に書いていません。

定子が出産後
後産ができず亡くなり
そして葬儀のことは
皮肉にも
道長の幸運をほめそやす
栄花物語につまびらかですね。

栄花物語は女性の筆と推測されるそうですから
同じ女性の定子の運命に
少しは同情的なのでしょうか。

定子の棺を白く塗りつぶす雪を
なごんちゃんは見ているはずなんですが。



定子の死後は
和泉式部や紫式部の加わる
彰子(しょうし)サロンがわが世の春を謳歌します。

なごんちゃんははじかれます。

かの女のそれからは
推察記事はあってもよく分かりません。

なごんちゃんは
2 度結婚して
1 男 1 女をもうけたと瀬戸内寂聴はいいますが
それが定説になっているかも知れませんが
いつの時代に定説になったのやら。
田辺聖子なんかは
出産経験がない説をとっています。

2 度目の結婚相手は大金持ちだともいいますが
どうなんでしょう。

ついでに書きますが
地方回りの役人は虎の威を借りて
せっせと蓄財につとめ
おじいさんになり退役します。

おじいさんといっても 50 歳前かも。

京(みやこ)に帰ってきて
お金があるので若い奥さんをもらいます。
なごんちゃんの 2 度目の結婚相手もそんな人?!

そんな人は暇なので四六時中
奥さんにくっついて撫でまわし!
さわりまくっていたいらしい!知らんけど。

それはいつの時代も同じですなぁ!
享保(1716 ~)のころの雑俳にもありました。

こそぐられますばつかりと隠居の妾

やはり江戸時代でも!たぶん明治になっても
もしかして現代でも
小金持ちのじじいは若い女性をやとって
1 日中撫でまわしているのかな。



それがうっとうしく
なごんちゃんは
キャリアウーマンになったのじゃないでしょうか。
まだ 30 歳前だったでしょうから。

たぶん!その男とも別れて
一生ここの墓守をしていたのでは。
そう!私はここで
つましい生活をしていたように思いたいのですが。

見晴らしがいいところです。
京都タワーが見えます。
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宮さま!なごんちゃん!ご覧になっていますか。
今日は雪ではないですね。

なぜか理由もなく涙がぽろぽろ。
だれも親を選んで生まれてきた訳ではありませんが
幸不幸は本人のせいでしょうね。
ああ!なまけものには寂しい冬。



(リルケの詩は富士川英郎訳を参考にしました)
(雑俳は「壁に耳」にある上方の句)
(敬称略)
タグ:枕草子
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