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こたつで観梅 花の文化園 [解語の枯れ尾花]

烏梅能波奈 知利麻我比多流 乎加肥爾波
宇具比須奈久母 波流加多麻氣弖 (万葉集838)
(うめのはな ちりまがひたる をかびには)
(うぐひすなくも はるかたまけて)

大隅目榎氏鉢麻呂という人の
なんとなくのどかな歌ですね。
万葉集には梅の花の歌が多いようです。

あ!ホントにウグイスが鳴いています。
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花の文化園(大阪府河内長野市)の梅園です。
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全山梅林とはいきませんが
種類は結構あるようです。(100 種 300 本)
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満開です。



有梅無雪不精神
 うめありて ゆきなければ せいしんならず
有雪無詩俗了人
 ゆきありて しなければ ひとをぞくりょうす
薄暮詩成天又雪
 はくぼ しなりて てんまたゆきふる
與梅併作十分春
 うめとあわせてなす じゅうぶんのはる

南宋の盧梅坡の雪梅(其の二)という絶句。
梅と雪と詩がそろわなければ春じゃないらしい。

漢詩はよく
冠雪や寒風の中の梅花をうたっていますね。

寒くなくては情緒がないのでしょうか。

この梅林にはそんな情緒を考えてあります。
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電気こたつがいくつかあるのです。

風雪の中
静かに詩歌をうたえるように
配慮してあるのでしょう。
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あたたかくなったので
あんまり利用していませんね。

明日は雨らしい。

梅花は雨に 柳絮(りゅうじょ)は風に
世はただ うそに揉(も)まるる

はは。
詩心のないものは
16 世紀の閑吟集の歌を思い出したりして。



あ!すごい!
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クリスマスローズの大花園!
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ん?!
ヘレボルス(!)と書いてありますね。
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これが本名?!
クリスマスローズは俗称でしたか。
クリスマスどきに開花する
ヘレボルス・ニゲル (Helleborus niger) だけを
そう呼んでいたらしいのですが。

私だけではなく多くの人が
この仲間をまとめて
クリスマスローズといっていませんか。
いってなかったら!ごめんなさい。

ともかくすごい群落です。
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みんな太陽に背いて下を向いています。

上を向いている花を探します。
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50 種 10,000 株もある中には
美顔を上げてくれる花もいました。



リルケはうたいました。

小川が土地を酔わせている
息もつかずに飲んだ春は
眼もくらんで
草むらへよろめいて
その酔いどれの吐息を
花の口からはいている
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春ですね。
クリスマスローズガーデン散策と
こたつで観梅で
逢引(あいびき)なんていかが。

死語になっている
逢引ということばを
春がきたから!よみがえらせたいのですが。
あなたと。



(佐佐木信綱編/新訓万葉集)
(石川忠久著/冬の詩100選)
(浅野建二校注/閑吟集)
(富士川英郎訳/リルケ詩集/を開いてみました)
(敬称略)
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