SSブログ

貴族のための 葵祭 2016 [平安京有情]

早朝から京都方面行きの京阪・特急が満員。
終点の出町柳から
人の群れは京都御所に向かっているようです。

葵祭(あおいまつり)ですか。

下鴨神社(賀茂御祖神社)と
上賀茂神社(賀茂別雷神社)のお祭り。

平安文学には「賀茂祭」とある
通称「葵祭」ですね。
4 月(もちろん旧暦)の中の酉(とり)の日に
催行していたようなんですが
そして近年はどうしているのか知りませんが
今年は日曜日(2016/05/15)ですね。

今日は高野川を探検(?)にきたのですが
夏がきたように暑いし!
連日の激務(ウソついてすみません)で
朝から心身に疲れを感じるし!
葵祭を見物して!早々に帰りましょうか。



賀茂祭の祭儀には興味がありませんが
行列は
京都御所を 10 時 30 分に出て
下鴨神社に 11 時 30 分に到着の予定。

洛中でアクセスもいいこともあって
京都御所!河原町通り!下鴨神社!
行列の通過地点にはヒトの芋の子洗い状態。

嵯峨徳子著/京都大不満/によると
「今日は祇園祭ですね」
なんて挨拶するようですが
「昨日は時代祭でしたね」です。
時代祭は京都の庶民の頭にないらしい。
葵祭はその中間でしょうか。

ということは
見物はよそものが大半でしょうか。

午後からは
14 時 20 分に下鴨神社を出た行列は
賀茂川に出て
15 時 30 分に上賀茂神社に到着とあります。

洛外になりますから
見物人が減るのじゃないでしょうか。
午後の行列を見ることにします。



賀茂川を渡る北大路橋のたもとに先回り。
向こうに五山の送り火の火床が見えます。

14 時 40 分を過ぎて
先導する騎馬がきました。
blog71.jpg

つづいてぞろぞろ。
blog72.jpg

傘!?
blog73.jpg

御所車という牛車(ぎっしゃ)がきました。
blog74.jpg

この牛さんは「替え牛」という役がついています。
blog75.jpg

先ほどの傘の名前は知りませんが
これは風流傘(ふりゅうがさ)です。
blog76.jpg

牡丹(ぼたん)など季節の花を飾ります。

これも風流傘。
blog77.jpg



この傘は命婦(みょうぶ)
つまり女官にさしかけている傘。
blog78.jpg

命婦がくると女性がつづきます。
女嬬(にょじゅ)がきて
いよいよ斎王代(さいおうだい)!
blog79.jpg

TVなんかで
「選び抜かれた世界一の生娘」みたいな
表現をされる人。

その昔は未婚の内親王の役だったようですが
今日では一般から選ばれている、、、ようで
一般の人じゃないんですね。

シンクロナイズドスイミングの
オリンピックメダリストの
京都人の奥野史子がいうことには
いくら美人でも賢明でも
世界のメダルをなん個集めても
斎王代の候補にさえ上がらないとか。

「家」ですか。
選ばれる「家」の子じゃないと
選ばれません。はは。

駒女(むなのりおんな)がなん騎かつづきます。
blog80.jpg

斎王つきの清浄な巫女(みかんこ)の騎馬。



葵祭という呼称は最近のこと
葵を飾るのもせいぜいここ 3、400 年と
知ったかぶりにレクチャーしてくれた
先達もいましたが
枕草子の「過ぎにしかた恋しきもの」に
「枯れたる葵」なんてありますから
平安時代から「葵」の飾りはあったのですよ!

なぜ葵がいいのか知りませんが
下鴨神社に養生されていますね。
blog81.jpg



平安文学や日記に「賀茂祭」は
うるさいほど出てきますが
記録を残しているのは
当然!やんごとなき身分の人たちと
その周辺の人たちだけです。

「車争い」もあったようですよ。
枕草子にも源氏物語にも蜻蛉日記にも
そのエピソードがあります。

いい見物場所に牛車を停めるのは
競争です。
ことほどさように
見物人は牛車のある人ばかり。

あ!思い出しました!
身分の低いものには
縁が薄いという傍証があります。

蜻蛉日記の
(作者の名前が分かりませんので)
(仮に「蜻蛉(かげろふ)」女史と呼べば)
その蜻蛉の息子の道綱(藤原兼家の子)が
行列の先頭の役に選ばれたとき
(これは賀茂の臨時祭のことのようですが)
(12 月にも臨時の賀茂祭があるのです)
蜻蛉の父親が人々の陰から見ていました。

蜻蛉の父親からみれば
道綱は孫にあたりますが
かれは小役人です!
とても堂々と見物できる
身分じゃないのでしょうね。

それを察した蜻蛉の夫の兼家が
兼家の豪華な席に呼んでくれたそうですよ。

蜻蛉の父親はもちろん
蜻蛉はどんなにうれしかったことでしょう。

天下を牛耳っていた兼家がねぇ!
結構やさしいところがあるんですね。
ま!豪放磊落(ごうほうらいらく)な
兼家じゃないとできない芸当かも知れませんが。



行列は上記の写真だけではありません。
blog82.jpg

飽きっぽいのでダレてしまって
ときどき思い出したように
シャッターを切っただけ。
blog83.jpg

ただ!今日は知りました。
現代の多くの人は
葵祭を鑑賞できる
貴族になってしまっているようですね。

貴族とはいかなくても
日本には中流意識の人が多いと
聞いたことがあるような。



(敬称略)
タグ:枕草子
コメント(0)