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うる餅は黄金もち!? [お命!いただきます]

里山を歩いていて
「こがねもち」という餅(もち)を買ってきました。
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「うる~もちやぁ!」
「うるもちや!」

歓喜(!)の声を上げるのは大阪で育った老人たち。

「うる~」餅とか「うる」餅とか発音していますね。
「粳米(うるちまい)」の餅のことかな。

この餅の原材料表記は
もち米!白米!食塩!かたくり粉!とありますが。

白米(粳米)とはごはんに炊いている米ですよね。

もち米(糯米)に白米を混ぜて搗(つ)いた餅を
「こがねもち」!?
大阪の年寄りたちのいう「うる~もち」ですか。

餅はざらざらしていて!米の粒が残っています。

「ちょうだい!ひとつ!」
「食べてもいい!」
「すぐ焼いてもいい!」

仕事や行事やハイキングのときにはだらだらと
生気のない動きの人たちが
どうしてこの餅の前では生き生きとするの!?

「売っておくれ!」

お金はいいですよ!あげますよ。
でも!今!レシピを考えているのです。
それまで待って。

「レシピなんか簡単や!」
「焼いて醤油をつけたらいい!」

それでは絵にならんでしょうが。
写真を撮りたいのに。

「絵にしなくてもいい!食べよ!早く!」

だめです。



そこにおいていたのが間違いだったぁ!
炭火の前だったのです。

用事をしているうちに
大半を焼いて食べられてしまいました。

上掲の写真は食べられた残りです。

だれですかぁ?食べたのは!
あなた方は「待て!」のできない「あほ犬」かぁ!

「食べていいといったじゃないの!」

レシピを考えてからあげるといったでしょ!

「レシピは焼いて醤油をつけるといいましたやろ」

いつだったか
缶ビールを「持っていて!」といっただけなのに
すぐ開けて飲んでいたし!フントにもう!

ま!行儀の悪いのはかれらばかりでもないですか。

TVを見ていたら飲食している
名も知らない男のタレントが
「女性しかサービスしない」というデザートを
「見せて!」といっていましたね。

店主が見せたら
すぐ!スプーンを差し込んで食べていました。
情ないですなぁ。
お前は女か!?去勢するぞ!私が独裁者だったら。
礼節のない輩を映したらいけませんなぁ。

TV局は編集しなさいよ。
ま!そんな時代ですか。



賢姉・大兄を「あほ犬」に擬してすみません。
「あほ犬」よりましでも
安楽庵策伝(1554 ~ 1642)の書き残した
「醒睡笑」の中の小僧くらいではありますが。

400 年前のひもじい小僧と同じです。

「醒睡笑」には
実にたくさんの「餅」のはなしがあります。
20 以上あるのでは。

策伝は僧侶ですので
僧院の中のできごとが多いのですが
僧侶も小僧も「餅」に異常な執着を見せていますね。

他に満足な食べものもない時代であり
修行僧の環境でもあったからかも。

そのひとつに
「膏梁(こうりょう)の美食」は体に悪いと教わり
隣の亭主は悪いことをしていると答えていますね。
「毎日餅を 7、8 個食っている」といっていますね。

「膏梁の美食」はぜいたくな食べもの!
すなわち肉食の多いことでしょうけど
「餅の多食」を「肉食」と思っています。

餅は最高食材!一番に食べたいもの?!



「うるもち」は
私の育った環境ではまったく見なかった餅ですね。

焼いて梅肉(梅干のペースト)をぬってみます。
とろろ昆布を巻いて醤油を振ったらどうでしょう。
とろけるチーズを巻きます。
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おいしいです。
ざらざらした食感も悪くはありません。



「うるもち」といっていた人のうち
出自がだいたい分かるのはふたり。
摂津に生まれ育ったおばさんと
摂津生まれ河内育ちのおじさん。

100 年前の食生活の聞き取り調査の記録の
「聞き書 大阪の食事」を見ると!
ありません!摂津にも河内にも。

「うるもち」なる単語がありません。

「こがね」という餅はありました。
「摂津山間の食」のところに。
やっぱり!糯米と粳米を
半分ずつ混ぜて搗くようです。

この餅を買ったのは兵庫県の猪名川市。
当時は摂津の範囲でしょうね。

そう!兵庫県の南東エリアも摂津の国ですね。

「聞き書 兵庫の食事」も確認しておきましょう。

まったくありません!「うるもち」なるものは。

ただ!「こがねもち」が「丹波の食」に
「黄金(こがねと読むのかな)もち」が
「淡路の食」にありましたが。

糯米と粳米を使うのはいっしょですが
ところによってその比率は違うようです。



結局!分かりません。

餅は食べられるは!
「うるもち」の正体は分からないは!
疲れがどっと出ますね!はは。

かれらが「うるもち」の
「雑煮!たまりまへん」といっていましたね。

食べものには思い入れが強いので
万人に好まれる味かどうか分かりませんが。

最後のひとつを雑煮にしてみますか。

餅はたぶん焼いていないでしょう!大阪ですから。
そのまま汁に入れるのでしょうか。
それとも下茹でするのかな。
とろけたりしないのでしょうか。

電子レンジでゆるゆると加熱してみます。
すぐちょうどいい柔らかさ。

かれらは白みその雑煮を食べたといっていますが
そんなに都合よく白みそはありません。

マルコメのカップみそ汁「料亭の味 長ねぎ」で
代用します。
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ま!涙が出るほどおいしいこともありませんが
それなりに味わえました。



(安楽庵策伝著/醒睡笑/鈴木棠三校注/参照)
(敬称略)
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