SSブログ

はるかなカラタチ 枳殻邸の春 [平安京有情]

京都駅。
2 時間あまりの待ち時間ができました。
2 時間あれば少々の観光はできますけどね。

京都水族館(入館料・以下同じ 2,050 円)は
ちょっと厳しいかも知れませんが
京都鉄道博物館(1,200 円)とか
京都タワー展望室(770 円)なら
なんとか楽しめるかも。

「お気に召しませんか。

東西の本願寺や東寺の参詣や
JRの京都駅ビルとか
京都ヨドバシとかの探検(?)なら無料です。

どうでもいいことですが
ヨドバシカメラの梅田のビルは
”ヨドバシ梅田” なのに京都のビルは
どうして ”京都ヨドバシ” と
漢字が先なんでしょうかねぇ?

「あ!ひとりごとざんす。

鴨川のほとりを散策した後
文子天満宮でお守りでも買いますかねぇ。

朝から入浴してくつろぐのなら
ホテル・サン・マルタン!
駅に近くて便利!きれい(たぶん)!
休憩 90 分 3,480 円!

「割り勘で 1,740 円!思い切ります?!

「そりゃ!ラブホテルじゃない!」
「ひとりで行って!もだえてなさい」



思い出しました。
ホテル・サン・マルタンと
文子天満宮とに囲まれて
枳殻邸(きこくてい)がありました。

枳殻邸とは愛称(?)ですけどね。
枳殻(きこく)の生垣だったたから。

「きこくって?!」

「指が冷たい人は心が燃えてるんだって。
「島倉千代子ですよ。

「ん?!」

「“からたち日記”!

「あんた!なん歳よ!」

「“からたち日記” のせりふは」
「幸せになろうね」
「あの人はいいました!でしょ」
「指が冷たい人!は “おもいで日記”!」

「おね~さんこそ!なん歳です!?

島倉千代子と同級生では?!
“からたち日記” と
“おもいで日記” の区別を語れるなんて。

「父が好きだったのよ!」

ともかく枳殻(きこく)は “からたち” です。



ああ!もう!考えるのがメンドくさいので
サン・マルタン!、、、じゃなく!
枳殻邸(きこくてい)に行きますよ。

本名(!)は渉成園(しょうせいえん)!
東本願寺の飛地庭園です。
blog01.jpg

入園には 500 円以上の志納。

「”以上” ですから!
「お釣りはくれません!たぶん。

「え~っ!?」

「立て替えますので!後で絶対!返してね。

入園したらすぐのこの石垣。
blog02.jpg

いいですねぇ!いつもうっとり。

「石垣とサン・マルタンに行ったら?」

桜花の季節も終わり新緑のころ。
blog03.jpg

日本に多い池泉回遊式庭園ですから
池の面積は広い。
blog04.jpg

敷地の 1/4 は水ですね。
blog05.jpg

京都タワーが借景(?)ですが
泣きそうな空が寂しい。



“渉成園” とは陶淵明の “帰去来辞” の
1 節から命名されたと園はいっています。

「“帰去来辞” とは
「“帰去来兮辞”(ききょらいけいのじ)のこと?!

「そうでしょ!」
「かえりなんいざ」
「でんえんまさにあれんとす!でしょ」


帰去来兮
  かえりなんいざ
田園将蕪胡不帰
  でんえんまさにあれなんとす
  なんぞかえらざる
既自以心為形役
  すでにみずからこころをもって
  かたちのしもべとなす
奚惆悵而独悲
  なんぞちゅうちょうとして
  ひとりかなしむや

たいていの日本人が好きで口ずさむ詩かな。

「ガッコーの教科書にあったでしょ!」

「おら!全然知らね~だ。
「おフランスの教科書にはありましぇ~ん。



どうでもいいことですが
“帰去来兮” を “かえりなん” “いざ” と
どういう日本語なら読めるんですかねぇ。

どこまでが “かえりなん” で
どこからが “いざ” ですかね。

たわむれに万葉集を見ると

63 および 2173 の “去来子等” は “いざこども”
280 および 957 の “去来児等” も “いざこども”

お~!分からんけど!
分かったような気だけします。

“去来” が “いざ”
“兮” はあってもなくても
あんまり内容に影響しないもの?!
まぁ “!” みたいなもの!

と決めつけて
1 文にもならんことを考えるのは
おしまいにしましょう。
よいこは忘れてください。



でも!
「詩のどこにあるんですか!”渉成” は。

「真ん中あたり」


園日渉以成趣
  えんはひびにわたって
  もっておもむきをなし



池の中の島に
木と土と紙でできた小屋があります。
blog06.jpg

「“お茶室” といえないの?!」

「寒いでしょうなぁ。

園内には個性的な建てものばかり。
その中でこの傍花閣(ぼうかかく)なんて
最たるもの。
blog07.jpg

いつの時代の意匠なんでしょうね。

シャクナゲとツツジは咲いていますが。
blog08.jpg

そろそろカラタチの花の咲くころ。
ほのかな香りのある花。

でも!園内にあるのでしょうか。
少しくらい残っているのでしょうか。
旧家の垣根にあったカラタチも
どんどん消えている昨今ですね。

風のこみちに いまははるかな
からたち からたち
からたちの花      (からたち日記)



あ!大きなヘビちゃんが!
blog09.jpg

こちらに泳いできてくれました。

こんな喧噪な町で大変ですね!
生きるって!大変ですね。

相手にされません。
blog10.jpg

生きるのに苦労している阿呆を無視して
泳いで行ってしまいました。



(漢字はすべて新漢字表記)
(西沢爽作詩/おもいで日記・からたち日記/)
(陶淵明全集/松枝茂夫・他訳注/)
(新訓 万葉集/佐々木信綱編/を参照しました)
(敬称略)
コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感