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清水寺から清閑寺へ 紅葉を焼いて酒を [平安京有情]

高倉天皇は紅葉が好きで
小山を築(つ)かせ
櫨(はじ)や楓樹(かへで)を植えさせて
「紅葉(もみぢ)の山」と
名づけていたそうな。

平家物語の
「紅葉の事」の段にありました。

そのとき!高倉天皇は 10 歳!?
満 7 歳にならないうちに
即位しています。

その前の六條天皇は
満 1 歳にならないときに
その後の安徳天皇は
満 2 歳にならないときに
即位しているので
遅いくらいです。はは。

「ある夜 野分 はしたなう吹いて
「紅葉みな吹き散らし
「落葉すこぶる狼藉なり

風が吹いてみんな散っちゃった!

下働きの人たちが落ち葉をかき集めて

「酒あたためてたべける薪にしてけれ

風がはげしく寒かったようで
薪(たきぎ)にして
酒をあたためて飲んだというのです。

奉行の蔵人(くらんど)が
なんということをしたのだ!
天皇の逆鱗にふれて
おまえたちも自分も
流罪(るざい)になるぞ!
驚いたのですが。

しかし高倉天皇は
「林間煖酒焼紅葉」を
だれが教えたのか!と
「御快(おんこころよ)げに」
笑ったとか。

高倉天皇は
よほど早熟で聡明な人だったのか
平家物語を書いた人が創作したのか。



「林間煖酒焼紅葉」は
白楽天の七言律詩の
「送王十八帰山寄題仙遊寺」の
中にありますが。

林間煖酒焼紅葉
 (りんかんにさけをあたためて
 (こうようをたき)

石上題詩掃緑苔
 (せきじょうにしをだいして
 (りょくたいをはらう

律詩としては
評価が高いとはいえないのに
この文句は日本人には
大昔から好まれていたのですね。

しかし!

「紅葉を焼(た)いて酒をあたため
「緑苔をはらい詩を題して

と書くのが普通ではないでしょうか。
白楽天の逆さの表現が詩なんでしょうか。
押韻の関係ばかりでもないのかも。



その後 20 歳にもならずに崩御した
高倉天皇に会いに行きます。

清水山の南に陵があるようです。

たぶん!今ごろは紅葉の中でしょうから
日本酒をささげて
「林間煖酒焼紅葉」を感じましょうか。

東山三十六峰を
北からか!南からか歩いて行こうかと
「京都一周トレイル」の地図を持参して
京阪電車に乗ったのですが
メンドくさい!と
すぐ!なまけ癖が出て
急きょ!
清水寺を経由して近道することに。

最近!あんまり意識しないのに
私の足は勝手(?)に
ゆるやかに「茶わん坂」を進み
「あさひ坂」をはいあがり
「清水坂」に出ていますね。
blog01清水寺.jpg

清水寺の仁王門をくぐり
三重塔の横に立てば
京都タワーのある町が見えます。
blog02清水寺.jpg

横切るだけですが拝観料を払います。
400 円!?
200 円以下だったような!よくきたころは。
すごいですね!
なんにもしなくてもときは流れています。

わ!
清水の舞台は仮設の足場の中。
blog03清水寺.jpg

通過するだけ!
この囲い!
それで 400 円は高いよ~!

せめてひととき観光客気分になって
足場の陰から見る子安塔。
blog04清水寺.jpg

あちらが東ですね!逆光です。

奥の院から大屋根を見ても
面白いことはありませんが。
blog05清水寺.jpg

子安塔に寄ります。
blog06清水寺.jpg

芋の子を洗うような人は
ここまできませんか。
すぐ近くなのに。



清水寺はおしまい。

子安塔から舞台のほうにはくだらずに
南に山道を進めば
「京都一周トレイル」に合流。

すぐたくさんの標識が勝手に
チャールストンを踊っているような分岐。
blog07.jpg

高倉天皇陵や清閑寺などの参道ですね。

と!いきなり天皇陵。
無茶苦茶荒れていますが。
blog08高倉天皇陵.jpg

六條天皇清閑寺陵と
高倉天皇後清閑寺陵と書いてあります。

合祀されているのかふたつあるのか
確かめようもありませんが。



さらに進めば高台に清閑寺の境内。
古刹(こさつ)!山寺の雰囲気。

鐘楼前には
「大西郷月照王政復古謀議舊趾」の碑。
blog09清閑寺.jpg

西郷隆盛と月照が謀議した茶室の跡?!
なんのことやら。
歴史にうといものには分かりません。

小督局(こごうのつぼね)を
供養する塔がありました。
blog10清閑寺.jpg

平家物語の「小督の事」にある女性ですか。

高倉天皇は小督が好きだったのですが
天皇の中宮の徳子は
ときの権力者・平清盛の娘。

清盛は
「徳子だけ愛さんかい!ワレ~!」と怒って
小督を
この清閑寺で尼にしてしまったのですね。

今は高倉天皇とおなじところで
眠ることになって!よかったですね。



酒をあたためることも
詩歌を吟じることもなく帰ります。
もう一度!
清水寺を通過できるのでしょうか。
初めの拝観券で。



(平家物語/佐藤謙三校註/)
(石川忠久著/白楽天100選/)参照
(敬称略)
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