俊徳丸 大石順教

東大阪市に
「俊徳道（しゅんとくみち）駅」があります。
近鉄・大阪線の駅ですが。

ＪＲの「ＪＲ俊徳道駅」が並んでいますが
こちらの駅に「ＪＲ」がついているのは
近鉄よりかなり後からできた駅だからでしょう。

俊徳道とは
俊徳丸が河内の高安の里から
四天王寺へ行った道を呼ぶそうですが
ここから府道 24 号線が真東に伸びているだけ。
それも 6km ばかり東進したら突き当たっています。

情緒もなんにもありません。
有識者に案内されれば
なにか見るものがあるのかも知れませんが。

俊徳丸は謡曲・人形浄瑠璃・歌舞伎に登場する
伝説上の人物でしょうか。

高安の長者の息子が呪われて失明し
四天王寺の観音さまにすがりに行ったのですね。

でも！府道 24 号線は
高安の里のずっと北側にあるのですがね。



八尾市に「俊徳丸鏡塚」がありました。


俊徳丸の墓だといったりしていますが。
高安古墳群の中の横穴式石室を持つ古墳。

俊徳丸の伝説は鎌倉時代にできたらしいので
5、600 年の時代のずれがありますがね。

墓ではなく
俊徳丸が住んでいたところといわれれば
否定はできませんが。

住んでいた！といえば
大石順教尼（1888 ～ 1968）が
この塚のそばに住んでいたと
地元の人はいいますが。

「高安の里」
「俊徳丸が業病をなおしていただいたと」
「いい伝えのある不動が滝へ」
「毎夜欠かさず参りました」

順教が著書
「無手（むて）の法悦（しあわせ）」に書いています。

順教は明治 38 年（1905） 17 歳のとき
堀江六人斬り事件に巻き込まれます。

養父・中川萬次郎（万次郎）が発狂して 5 人を殺害
芸妓の妻吉は両腕を落とされたものの
一命をとりとめたのですね。

その妻吉が昭和 8 年（1933）
高野山にて得度した後に順教を名乗っています。

ということは！すみません！
高安の里に住まいした昭和 6 年（1931）は
まだ妻吉か！本名の「よね」だったのでしょうね。



その「不動が滝」
地元の人は知らないといいます。

郷土史家にでも問わなければ
もう分からなくなっている滝かも。

「西は道頓堀」「千日前の赤い灯青い灯」
「南の方は天王寺！新世界」
「北は枚方あたり」

美しい夜景をひと目で見渡せたと
「無手の法悦」には書いてありますが。

生駒山地の方へ上って行けば
大阪平野が眼下に広がります。

天王寺のあべのハルカスがよく見えます。


玉祖（たまおや）神社の境内から
ビルの谷間の大阪城を確認できました。


玉祖道という街道があったそうな。
大阪の玉造（たまつくり）と玉祖神社を結ぶ道。

この道は「十三峠道」ともよばれたらしい。
神社の横に十三峠に上る道がありますから。

これが俊徳道かも。
もっとも大阪の玉造と
四天王寺は少し離れていますけどね。

玉祖道！十三峠道！十三街道！
俊徳道！俊徳街道！
ほぼ同じところの道がどれがどれやら
長い歴史の中で名前も場所も決めごとも
混沌としてしまったのかも。



玉祖神社に「黒柏鶏」がいました。


古事記の「天の岩戸」のはなしに出てくる
「常世長鳴鶏（とこよのながなきどり）」とも
いわれているそうですが。

文字通り長く鳴くのでしょうね。
この声を聞いたらしあわせがくるそうな。

待てど暮らせど
鳴いてくれませんね！しあわせ薄いものには！はは。

順教は書家としても名を残されたようですが
両手がないので筆を持てません。

カナリヤの子育てを見て
口で筆をくわえて書くことを思いついたそうな。

くちに筆とりかけよと教へたる
鳥こそわれの師にてありけれ

という歌と絵を残されています。



境内の横の斜面で
水仙が季節を教えてくれています。


農道なんでしょうか。
生駒山地の中腹をトラバースしているような
幅員があってきれいな舗装路ですが
交通量のない道に
トクサ！？


道のへりのわずかなすき間に
トクサが繁ってつづいていました。

下のトクサ畑（？）からエスケープしてきたらしい。

頑張っていますね。
運命にめげませんね。

順教は
両腕を斬り落とした萬次郎を
「憎めない」「恨めない」というのですね。

「計画的に企ててはいない」から。

そうですか！
それがもし本心なら。
私には分かりません。

運命を恨んでも仕方がない、、、のでしょうか。



（敬称略）

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