冬の辻子谷に笹子鳴く [うそ八百]
酔い覚めの せせらぎに 花が散る
袈裟(けさ)がけの 血の色の 花が散る
あの人も あの人も 冬の虹(にじ)
いくたびの ときめきが 冴(さ)え返る
ひざまづき 祈る日は 遠くても
狐火の 辻子谷(づしだに)に 笹子(ささご)鳴く
着ぶくれて また還(かえ)る 水ぐるま
わが輪廻(りんね) 転生は いつ停まる
山眠る 人眠る 恋眠る
石地蔵 八十と 八の縁
面影が 褪(あ)せるたび 紅をさす
この性(さが)に 辻子谷(づしだに)の 寒ひでり
霜焼けの 夢ひとつ 持て余し
あおぎ見る 生駒山 細い道
凍(い)て蝶は 死ぬことも できぬまま
興法寺 帰依(きえ)薄い 寒安居(かんあんご)
ねんねこで 胸隠す 身は穢(けが)れ
水子呼ぶ 辻子谷(づしだに)を さかのぼる
コメント 0