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深泥池 大田神社 かきつばた [解語の枯れ尾花]

京都市北区の
深泥池(みどろがいけ or みぞろがいけ)に
白い花が咲いています。
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ハナショウブ!?
じゃないですね。
カキツバタかな。
水の中に生きているのは
カキツバタくらいでしょう。

この池は平安時代から著名らしい。
氷河期の生物が残っているとも。
私の感覚では常に池は埋まっていき
丘は崩れていくと思うのですが。

1 年に 1cm 泥が溜まったとしても
100 年で 1m
1,000 年で 10m ?!
平安時代の池は
なくなっているはずなんですが!
私の高尚な(?)計算ですから
よいこは信じないように。

ま!とても稀有な池です。
なにかが棲んでいるに違いありません。



カキツバタの名所といえば
このすぐ近くの上賀茂神社の摂社の大田神社。
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この紫の色こそ
カキツバタと思ってしまいますが。
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カキツバタには品種が少ないような。



「むかし男ありけり」の伊勢物語に
その男(!)の
カキツバタの折句(おりく)がありますが。

折句とは出題の名詞をばらして
1 字ずつ頭に置いてよんだ俳句や短歌。
その短歌のお手本として有名な歌。

からころも きつつなれにし つましあれば
はるばるきぬる たびをしぞおもふ

「かきつばたといふ五文字を句のかみにすゑて」
「旅の心をよめ」といわれてよんだのですね。

この歌は古今和歌集に
在原業平朝臣の作歌とありますから
男は天下の色男の
業平(825 ~ 880)でしょうね。

余談ですが
「仁勢物語」というものがあります。
「にせものがたり」と読むのかも。
伊勢物語のパロディ。
滑稽・卑賎に置換した江戸時代のもの。

伊勢物語の「かきつはた」の項は
「かきつへた」と折句を作れとありますが。

「かきつ」「へた」なんですな。

徒歩道(かちみち)を きのふもけふも つれだちて
経(へ)めぐりまわる 旅をしぞ思ふ

はは。
教養がなければパロディは書けませんね。



松尾芭蕉が

あやめ生り 軒の鰯の されかうべ
(あやめおいけり のきのいわしの しゃれこうべ)

あやめ草 足に結ん 草鞋の緒
(あやめぐさ あしにむすばん わらじのお)

なんてよんでいますが
この「あやめ」は
「ショウブ」なんでしょうねぇ。

「アヤメ」も「ショウブ」も漢字で
「菖蒲」と書いてきたので始末が悪い。

今では「アヤメ」と「ショウブ」の違いは
小学生でも分かっていますが
アヤメやハナショウブや
ジャーマンアイリスなんかは
花の形がよく似ていて近縁種なので
混同して呼んでしまいますね。

ハナショウブの季節には
ハナショウブ園に水を張ったりするので
水好きなんて思われていますが
乾燥した地を好むアヤメに近い
性質なんじゃないでしょうか。

ジャーマンアイリスに至っては
水をかけると腐りますよ。



わが家の庭の桃ケ池が
キショウブだらけになりました。
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さらにどんどん増えています。

最初!今ではゴミの集まっているこのあたりに
ハナショウブを植えていたのですが。
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キショウブもハナショウブの仲間と考えて
植えたのでしょうね。

それが!大変。
ハナショウブはみんななくなって
キショウブの天下です。

他のハナショウブが弱かったのじゃなくて
キショウブはなにか
他を忌避する物質を出しているのでは。

さらにここから流れて
池の周囲に黄色い花が咲いています。

このキショウブは
カキツバタのように水の中でも平気で
アヤメのように乾燥地でも増えて
今にアヤメといったら
キショウブと
その交配種だけの世界になりそうです。



あ!?
カキツバタを書くつもりでしたが
泥沼にはまり込んで
夜も更けてきましたので!もう!寝ます。
お休みなさい。



(伊勢物語/石田穣二訳注/)
(古今和歌集/奥村恆哉校注/)
(仁勢物語/前田金五郎校注/等参照しました)
(敬称略)
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