四股踏んで塩まいて日曜農園の決闘

どこでもうるさく
指図したがる者がいるようで
Ａさんが借りた日曜農園は
グリコ・森永事件のモンタージュ写真の
キツネ目の男が日焼けしたような顔の
50 がらみの男が仕切っていました。

農園 1 区画が駐車場 1 区画分くらいですが
そのキツネ目の男似の男は
Ａさんの隣地から連続！数区画も借りて
昼間！いつもたむろしています。

男は農業に自信満々
他の人の作業にずけずけ
「すぐ！大根を植えろ！」
「今日！ジャガイモを掘れ！」
「肥料を施せ！新芽を止めろ！」と
いつも命令口調。

みんなその男の実習を受ける学生の如く
すなおに従っているようでした。

Ａさんは無視していたら
Ａさんの区画がゴミだめになりました。

初めは隅の方に捨てられていたのですが
だんだん大胆になり
なん日か後には
洪水の引いた川岸のように
ゴミが畑中にまき散らされていました。

私も見に行きました。
なるほど！ひどいものです。
スミチオン（農薬）の空瓶なんかもあります。

しかも！明らかに
そのゴミは
キ似の男の畑の古材や雑草だと分かります。

そればかりか男は
境界線ぎりぎりに畝（うね）を作って
その世話に
Ａさんの畑の中を歩いているようです。
その傍若無人ぶり！
Ａさんの菜っ葉を踏みにじっています。
四股（しこ）を踏んでいるのかも！？

Ａさんが畑に行くと
キ似の男はみんなを集めて
「畑を病害虫の巣にしている」
「不潔なヤツ！出て行ってもらわねば迷惑」と
聞こえよがしにいっています。

取引先の農協の推薦らしいけど
もう！出て行ったら！？
「しかし！ハラ立ちまっせ！」

押さえて押さえて！
あいつら！人間じゃありません！
こちらがあいつらのレベルまで身を落として
四つんばいになって吠えることもありません。

ま！
トラブルがあったとき
私の母は
塩で清めて！線香を立てて！
般若心経のひとつもあげていましたよ。

「え！？」

私の助言に
Ａさんは
夜中に濃い食塩水を作り
キ似の男の自慢の畑にまいた！
いや！清めたそうな。

キ似の男はたくさん作っているので
隅から隅まで念入りに清めるには
2 晩がかりで
塩が 10 数kg もいったそうな。
最後は腰が痛くなって
如雨露（じょうろ）を使わず
大相撲のように直接まいた！いや！清めたとか。

私のいった清めとちょっと違うんですがね。
ま！いいっか！
カドミウムやら有機水銀をまく訳じゃないから。
塩化ナトリウムなら
アイスプラントのように
サラダがすぐ食べられるかも！あは。

植物って丈夫なんですね。
すぐ！効果はあらわれません。

キ似の男の畑が
一面茶色になるには
1 週間くらいかかりました。

しかも！トマトなんかは勢いはないけど
結構！長い間
花を咲かせていましたよ。


あ！？
遠い日のことですよ。
その後のそれぞれは知りません。