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崇徳院 赤チン塗られた [はなしのはなし 食えぬ梨]

「ああ!だれかこないもんかな。
「暇で!ひまで。
「だれかきたらつかまえて
「半日は相手にさせてやろう。

「ああ!おばあさん!
「だれかきたら羊羹でも切って
「お愛想でもいっておくれ。

ご隠居!いてはりますか」

「おお!おお!町内一お調子もんの!
「いや!陽気もんのき~やんか。
「おはいり!おはいり。

お忙しいのでは」

「全然や!暇で!ひまで。

町内一もの知りのご隠居に」
ちょっと教えてもらいたいことがあって」

「おお!よくきてくれた。
「なんでも知らぬことはないと
「みながいうてくれとるがの。うほほほ。
「ま!学問は好きで
「本は若いうちから
「ひとの 100 倍は読んできたからな。

高津(こうづ)さんに行ってきましてん」

「仁徳テンノさんが民のかまどの
「煙をごらんになったとこやの。

境内で落語会をしてました」
崇徳院(すとくいん)を聞いてきました」
百人一首の崇徳院の歌」
ご隠居!当然ご存知ですよね」

「も!もちろんじゃ。
「百人一首でも般若心経でも
「みっつのときにはそらんじておった。

その意味を教えてもらいにきました」

「ああ!今日は忙しいから!
「残念やけど!そのうちにな。

お暇だったのでは」

「急に予定を思い出したんじゃ。

おじいさんは暇!ひま!」
き~ちゃん!羊羹切ってあげるから」
なん時間いててもいいよ」

「ばあさん!おまえはなにをいうのや。
「ホントにもう。



崇徳院さんとは男ですか!女ですか」

「そんなことも知らんかえ。
「ジョーシキやな。

そんで!どうなんです?」

「そ!そりゃ!もう!女性や。
「すと・クイーンといってな
「クイーンは女性やな。

すと・クイーンさんだしたか」

「この前の日曜日に
「のびのびそばのカマ番のタケシがきてな。
「あの日の競馬のクイーン杯な
「3 5 がデカパイひ~ちゃんのお好み焼き屋の
「鉄板より硬いというもんやさかい
「わし 3 千円託したんや。
「お茶でも飲めと 500 円やったがな。

儲かりましたか」

「スコーンと大はずれ!
「気分が悪いことを思い出したから
「はい!今日はさようなら。

そんなぁ」

き~ちゃん!羊羹をお食べ」
帰らんでもええよ」

「おまえはそうなん度も出てくるんじゃ。



簡単でええから歌の意味!お願いします」

「ど!どんな歌やったかいの。

ご隠居!知らはらしまへんの」

「知っとるけど!き~やんの口からいうたら
「き~やんがよく理解でけるさかいな。

瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の」
われても末に あわんとぞ思う」
そんな歌だした」

「そうそう!それじゃ。
「せをはやみ!な。
「せをは!やみじゃな。

どういう意味で」

「やいやいいうたらあかん。
「こ!これからいうがな。

「せは背中!をは尾っぽ!
「背中としっぽとをやむんじゃな。

やむとは?」

「病気じゃ!
「背!尾を病んでいたということじゃ。

だれがです?」

「ぷ~ちゃんやがな。

だれです?ぷ~ちゃんとは」

「毎朝ちんころばあさんが散歩している犬や。
「顔がフレンチブルで胴が柴犬の。
「ばあさんが産んだとしか思えない犬。

「ばあさんはぷ~ちゃんと以心伝心!
「ぷ~ちゃんは賢いから
「ママのいうことをちゃんと聞くそうな。
「ばあさんは自分のことをママというとる。
「拾い食いはしない!
「他人から食べものをもらわない!
「ムダ吠えはしない!とママがいうのじゃが。

「左官のカマやんが
「すえた臭いのするあんパンを持っていたら
「ぷ~ちゃんがくれ!くれ!というて
「ばあさんの見ていないうちに食べたがな。
「それから!カマやんを見るたびに
「くれ!くれ!いうとるな。

「この前は薯蕷(じょうよ)饅頭の
「底の経木まで食うてしもうたがな。

ご隠居!いつの時代のことです?」
崇徳院の時代はいつです?」

「やいやいいうたらあかんよ。
「歌舞伎の中村勘三郎なら 18 代や。
「ぷ~ちゃんかて代々いててもおかしない。

おかしない!いわれても、、、」

「はい!おしまい!分かったやろ。
「今日はおしまい。



全然!分かりまへん」
なんで!ぷ~ちゃんが病むんです?」

「マダニがな!
「背中としっぽに食いついたんや。
「その後をかきむしったのでただれた。
「そこへ赤チンを塗ってもらっておる。

赤チン!?」

「看護師のミネちゃん!知っとるやろ。

還暦過ぎたおばちゃん!?」
梅毒のちんちんを」
素手でつかんだという伝説の看護師の?!」

「そうや!病院の古い倉庫から
「赤チンがぎょうさん見つかったんや。
「今の 2 代目の院長は
「ドスケベでドケチやから
「今は一般に売られていないから
「それをカネにできんもんかと!
「ネットで売れんもんかといい出したんや。

「それを聞いたデリバリーキングがな。

デリバリーキング?」
弁当の配達屋さんだすか?」

「デリバリーといっても女体の配達や。

どこに?」

「女に飢えた男の自宅に届けるんやな。

なんのために?」

「おはなししたり!即席の恋愛したりじゃ。
「いっぺんでんわしてみ!すぐ届けてくれる。
「あ!初めに好みをよくいっておかねばならん。
「気に入らんかったらチェンジできるかどうか
「よく確認しておいたほうがええぞ。
「チェンジ料がバカ高い店があるからの。

「よくいえば
「その道のオーソリティ!在野の研究家。
「ま!俗っぽくいえば好きもののエロおやじの
「ひと呼んでデリバリーのキングのじいさんが
「その赤チンを
「100 本ばかり買(こ)うたらしい。

「金魚の傷口の治療だというとるが
「たぶん!また妖しい遊びを考えとるな。
「赤チンなら
「ちんちんに絵が描きやすいというとった。

「ぷ~ちゃんはそれを塗ってもらっとる。

「はいはい!解決。

ご隠居!まだ頭の 5 文字だけですがな」

「今日はおしまい。

き~ちゃん!お茶替えたげるわ」

「どうして!おまえは出てくるんじゃ。



赤チン塗ったぷ~ちゃんが」
岩にせかるるとはなんですか?」

「岩は!その~!岩おこしじゃな。

岩おこし~!?」

「知らんのか!粟おこしのさらに硬いの!
「そこでや!粟おこしというけど
「粟はひと粒も使ってないぞ。
「さつまいものでんぷんで作っても
「わらび餅というがごとし!はははは。

そのレシピはまた聞きますが」
ぷ~ちゃんとの関係はなんです!?」

「やいやいいうたら説明でけへんやろ。
「岩おこしは硬い!でも食べたい。
「ちんころばあさんは歯が悪い。
「ひなたに置いといたのじゃな。
「ぬくめるとシロップや蜜がゆるんで
「柔らかくなるんじゃ。

「その岩おこしをぷ~ちゃんが食べたんじゃ。

ぷ~ちゃんは拾い食いしないんでは?」

「そんだから!叱られた。
「岩おこしで叱られたので
「岩にせかるる!ということじゃ。

せかるる!?叱られるじゃないのでは」

「叱られるを昔のことばでは
「せかるるというたんじゃ。

にわかに信じられしまへんが」

「ま!おまえさんもしんどいやろ。
「ここまでにしとこうか。

全部教えてくださいよ!今」

「無理したらあかんわい。

き~ちゃん!」
こんぺんとう(金平糖)食べる?」
ゆっくりしいや」

「ばあさん!たびたび出てこなくてもよろしい。



背中に赤チン塗ったぷ~ちゃんが」
岩おこしを食べて叱られて」
それから!どうしたんです?」
つぎは滝川の!ですが」

「やいやいいうたらあかんよ。
「滝川といえば滝谷不動の横の川やがな。

滝谷不動~!?」
えらく遠くじゃないですか!」
河内!それも南河内!」
富田林(とんだばやし)の奥じゃないですか」
どうして!急に南河内なんです?」

「それは歌を詠んだ人の勝手やろ。

「南河内というてあなどっちゃいけない。
「マキちゃん!知っとるやろ。

胸と尻を異常にふりふりして」
歩いているおね~さんですね」

「胸はトリンプのブラの上げ底やけど
「尻はホンモノやな。

「滝谷不動のそばの高校に
「そのマキちゃんが通学してたんや。
「大阪市内に売るほどある高校を蹴って
「南河内の高校まで行ったんや。

どうしてです?」

「校則のグンゼの白いパンツが好きやから。

校則にそんなことまでありますか?」

「あるんやから!しかたがないやろ。
「なんなら!おまえさんも
「女子に化けて入学してみなさい。

「でも!今はゼブラ模様やら
「赤と緑の玉が飛び違っているような
「ハデなパンツばかリはいとるがの。

「絵に描いたような優等生。
「親の期待通りに育って大学まで行くと
「社会に出てから 180 度変わる典型じゃな。

「遅ればせながらついに知ってしまったのじゃ!
「めくるめく快楽の世界を。

それはそうと!なんで!ご隠居が」
かの女のパンツの柄を知っとるのですか?」

「よくぞ聞いてくれた。

「おまえさんもカネのないとき
「よく!あばずれのみ~ちゃんを連れて行っとる
「ションベン小路の吹き溜まりの奥の
「40 年保健所ににらまれている居酒屋で
「句会をしてたんや。

あんな文化のかけらもないとこで句会ですか」

「勝手やろ。
「ん?!句を聞きたい?

「音もなく 欠け杯を 出す酒場
「ゆうれいの ような手でアテを 出す酒場

「なに!もう聞きたくない!?

「そのとき!酔うていたハゲのタカやんが
「愛称・ハゲタカが
「たまたまいあわせたかの女に
「パンツ!見せて!というたんや。

「そしたら間髪入れずに!かの女が
「千円!と答えたのや。
「しかも!わしのほうに振り向いて。
「いえ!それ!わしではない!と狼狽するがな。
「それでも早く~!というから
「思わず!千円出した。
「それで表に出てスカートをめくってくれたんや。
「2 秒ばかり。

「それから会うたびに千円!千円いうのや。
「パンツをやっぱり 2 秒ばかりやけど
「もう!飽きるほど見せてもらっとる。
「もう!いい!充分やけど
「見つかったら千円!千円!

ぷ~ちゃんと腐ったパンの関係と」
あんまり違いませんね」

「大蛇ににらまれたカエルのように
「金縛りにあって!千円出してしまう。
「こののがれない底なし沼の恐怖から
「助けてくれ~!おいおい。

ご隠居!泣かんといてください」



「滝谷不動では年中
「ドジョウの放生(ほうじょう)ができる。
「ドジョウを買い求めて谷に放すのじゃな。

「夏はともかく冬の氷の張った水は冷たい。
「ドジョウにはたまったもんじゃない。
「急いで大川の石川の渕まで下るわな。
「さらに合流しておる大和川まで泳ぎ
「今!大和川は堺に流れ落ちとるがな
「昔は河内湖に入っていたんやな。

「高台の高津の宮に立てば
「東に河内湖!西にちぬの海!つまり大阪湾!
「ドジョウは河内湖出身で
「放生のために
「滝谷不動まで連行されていたんや。
「故郷まで帰り着くということやな。

それはいいのですけど」
われても末にあわんとぞ思う!はなんです?」

「運悪く途中で捕まって
「ドジョウは開かれてしまうのじゃな。
「開くとは割(さ)く!割(わ)るじゃ。
「割れても!割られても!
「末に!つまりつぎの世には
「故郷で会いたいと思うということじゃ。

背中に赤チン塗ったぷ~ちゃんが」
岩おこしを食べて叱られて」
滝谷不動の放生のドジョウが」
開かれて、、、?」
よく分かりませんが」

「歌とか詩とかはよく分からへんのがいいのや。



「たぶん!仁徳さんの逸話はウソじゃな。

「今の場所に高津さんがあったのなら
「見えていた東の河内湖も
「西のちぬの海も
「アシ原と水だらけで
「その時代に民の家が並んでいるとは思えん。

「貧しい家の 1、2 軒はあったかも知れんが。
「そこでドジョウを割(さ)いて
「焼いていたのじゃろうて。

「ハラを空かせたにゃんこが
「くわえて逃げるわな。

「ドジョウは熱い!思わず水路に落とした!

「水は嫌い!
「ママのいうことはよく聞く!
「拾い食いはしない!
「そんなはずの!ぷ~ちゃんが水路に飛びこむ!
「ドジョウを食いたい一心じゃ!

ぷ~ちゃん!はしたない!」
やめなさい!」
ママのいうこと聞けるでしょ」
あんたはシャワーもお風呂も嫌いなのに」
濡れるでしょうが!」

「ぬれても末に拭(ふ)かんとぞ思う。



(上記のひとたちはすべて架空!実在しません)
(それでも自分のことのように気になる方は)
(気のせいです)
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