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万葉の恋歌は五木ひろしの女歌 [パパラッチ!ママえっち?]

加齢太り(?)でよたよた歩く
いわゆる大阪のおばちゃんに出会いました。

「新歌舞伎座で五木ひろしを見てきた」

「五木ひろし!嫌いじゃなかったの?

「嫌いや」

おばちゃんは自分の容姿は頬かむりして
イケメン好きです!勝手です。

あの不細工な顔の!
(私がいったのではありましぇん!すみません)
五木ひろしの公演に人が行くのか
長い間疑問だったそうな。

1 度実物を見てみようと
思いついたのですが
おばちゃんの仲間のだれを誘っても
行かないといいます。
それでひとりで行ってきたとか。

「どうでした?

「やっぱり不細工な顔で」(重ねがさねすみません)
「女の歌をうたっていたわ」

五木ひろしファンの心境は
やっぱり分からなかったらしい。



不細工な顔のおじいさんが
妙齢の美人が主役の「女歌」を歌っても
人見知りの体力もないおばさんが
高倉健の男歌「唐獅子牡丹」を歌っても
だれもとがめませんが。

歌は心で歌えなんて
どこかで聞いたことがありますが
おじいさんが女心になれるのかどうかは
私も疑問ですが。



唐突に万葉集です。

天智(てんぢ)天皇の愛人(?)の
額田王(ぬかだのおおきみ)と
元・愛人(?)の天智天皇の弟の
大海人皇子(おおあまのみこ)との
歌を思い出します。


あかねさす紫野行き標野行き
野守は見ずや君が袖振る

(あかねさす むらさきのゆき しめのゆき)
(のもりはみずや きみがそでふる)

紫草のにほへる妹を憎くあらば
人妻ゆゑに我恋ひめやも

(むらさきの にほへるいもを にくくあらば)
(ひとづまゆゑに あれこひめやも)


ああ!今でもすてきな人。
いやだわ!袖をふらないで。
人が見るじゃありませんか。

人妻になったってなんだって!好きだ!

不倫の歌でしょうか。

14、5 歳でこの歌を教わり
未知の恋のすべての運命を
見たように思ったというのは瀬戸内寂聴。

犬養孝も学生時代に驚いたといいます。
女性の豊かな心!媚態的表現に。

濃(こま)やかな情緒に伴う甘美な媚態と
昭和の初めに
斎藤茂吉も書き記していますから
ずっとそんな評価で
万葉集に興味を持つ
きっかけになった人!多数。



これ!実際のできごとの歌?!
虚構では。

だいたい!登場人物が若くありません。

といっても!だれの誕生日も
はっきり分かりませんが。
書物によって違うのですね。

天智が 614 ~ 631 年くらいに誕生。
大海人が 614 ~ 640 。
額田王は 631 ~ 637 。

端っこと端っこをとれば
天智と大海人(天武天皇)の
兄・弟が逆転しますがね。

額田王は大海人の子の
十市皇女(とおちひめみこ)を
産んでいます。

額田王は 17 歳で産んでいたのでは。
私の判断だけで証拠はありませんが。

天智の出生年を
日本書記の 626 年を信じれば
それやこれやで
大海人が 631 年。
額田王も 631 年の生まれのような。

前述の歌が詠まれた年ははっきりしています。
668 年。

するとそのとき
天智が 42 歳。
大海人と額田王が 37 歳。
その時代ではみんな孫のいるほどの年令。

とても少年少女のような歌を
作る年でもないような。
ま!いくつになっても恋は恋ですがね。



1963 年刊行の
「万葉百歌」(池田弥三郎・山本健吉著)に
遊猟(みかり)というレクレーション時の
宴席の歌だという説が出て
今はその解釈が主流になっているようです。

私が最初にこの歌に接したとき
秘められた歌がなぜ!
万葉集に収録されているのか
疑問だったのですか。

蜻蛉(かげろふ)日記や
和泉式部日記のように
手記ではないのですよ。

宴席の歌なら
多くの人が知ることになりますよね。

大谷歩・万葉文化館主任研究員の説では
「恋歌は公開された中で詠われる」
「恋愛は恋歌の中に存在する」そうな。



それでも田辺聖子は
ゆっくりした中年の男女が
諧謔(かいぎゃく)をこめ
したしみにあふれて投げ交わした
座興の歌と主張しますが。

男女が集まり騒ぐ「歌垣」は
虚構でいいはずですよね。

全然恋愛感情もない男女でも
指名かなにか受けて登場し
ふざけあってこそ!
座が盛りあがったような。

「あなたはぼくの 太陽だ
「月だ星だ うめぼしだ
「酸(す)いか甘いか 食べさせて

なんかでいいのでは。

受けたほうも

「ホントにあんたは いい男
「おカネがあったら 日本一
「鏡を見てから 出直して

なんて答えればいいだけでしょ。



余談の余談ですが
古代ではおおらかに
今では放送禁止用語的な
猥褻(わいせつ)な単語を
かけあっていたのでは。

私も無理して(?)卑猥な単語を並べて
歌を作ってみたのですが
読み返していたら恥ずかしくなり
書き直したのが上記の歌(もどき!)です。



ともかく!
恋歌は虚構に違いないと私は思いますが。

事実と虚構の二重性があるという
佐佐木幸綱説もごもっともですが
宴席で額田王と大海人が
ホントに登場していたとしても
100 %真実だけ詠っていたとも
考えられません。



だれか!たとえばおじいさんが
額田王になりかわって詠ったということは
考えられませんか。

五木ひろしが女歌を歌うように。

かたや!大海人側の女史が
主にかわって詠い
喝采を浴びている情景が浮かびましたが。



(瀬戸内寂聴著/古都旅情/)
(犬養孝著/万葉の人びと/)
(斎藤茂吉著/万葉秀歌/)
(田辺聖子著/文車日記/)
(佐佐木幸綱著/万葉集の<われ>)参照
(敬称略)

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