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男護ケ島 乳長国 [はなしのはなし 食えぬ梨]

「おね~ちゃん!

ん!?あんこ!呼んだ?!」

「呼んでないよ!とんこの空耳じゃない!?

「あたし!
「ほら!公園のメタセコイアの切り株の上。

あら!可愛い女の子」
こんな夜更けにどうしたの?」

「おね~ちゃんたちの
「のぞみをかなえてあげようかと。

なんのこと?!」

「さっき!ションベン小路の奥の居酒屋で
「男ばかりの国へ行って
「お姫さまをしたいっていってたでしょ。

え!?」

「四捨五入したら 40 歳になるんですって!?
「ふたりとも標準体重から 15kg オーバー!
「おカネのない若いアメリカ兵に貢いで
「つくつくほ~しさせるのはあきたって?!
「大きなイチモツを
「やみくもについて奉仕させるのを
「つくつくほ~しというの?!面白いね。

みんな聞いてたの!?」
どこにいたの?!」

「離れていても聞こえるよ。
「あたし!魔法使い!魔女だよ。

こどもじゃないの!?」

「正確にいえば魔女になる前の少女。
「今 102 歳だよ。

え!?」

「魔女の世界では 200 歳になったら
「お茶くみ修業が始まるの。

「300 歳で魔法使い見習い。
「400 歳で試験に合格したら魔法使い補佐。
「500 歳になって成績優秀なものから
「魔法使いのライセンスが授与されるんだよ。

「でも!魔女の子だから
「一応たいていの魔法は使えるよ。
「使ってはいけない決まりだけどね。

「男ばかりの国は
「うんと南の海の中にあるよ。
「行きたい?

行ければね」

「行けるようにしてあげるから
「おカネちょうだい。

魔女ならおカネを魔法で作ったら?」

「してはいけないことがあるの。
「個人の欲望のためには魔法は使えないの。
「だから報酬をちょうだい。

いくら?」

「高いよ!買いたいものがたくさんあるから。

高いのかぁ!」

「ひとり 5,000 円ちょうだい。

え!?」
それだけで男ばかりいる国に行けるの!?」
だまされてもイイから私!出す」



大阪市で一番標高の高いところへ」
深夜に人に見られずに行けといってたけど」

「ここよね!鶴見新山。
「標高 39m だけど大阪市の最高峰。

狼少年ケ~ン!と叫べといってたよね」

「いつの時代の単語なのよ。
「102 歳のこどもだからね。

さ!だまされたつもりでやってみよう」
北極星を仰いで」
妙見!妙見!狼少年ケ~ン!北斗のけ~ん!」



だれじゃ!オレたちの」
プライベートビーチに寝ているのは」

「え!?ここはどこ?

小人国(しょうじんこく)じゃ」

「わ!ホントだ!
「てのひらにのるほどの人ばかり。
「スカイツリーがある?!

あれは大人国(たいじんこく)の人の」
ゴルフのクラブじゃな」
小人国と大人国は仲がいいので」
われわれ小人の村は」
大人の家の箱庭になっているのじゃよ」

「男ばかりの国に行きたいのですが。

おお!」
それは男護ケ島(だんごがしま)じゃ」
ここから北にある島じゃ」
大丈夫!歩いて行けるじゃろうて」

北の端に行くと向こうに島が見える」
潮が引くと瀬が現れるから渡りなされ」

渡ったところが足長島(あしながしま)」
足長島の西側の」
海岸線を歩いて北をめざしたらよかろう」

東側は危険じゃ」
東側の向こうに」
手長島(てながしま)があるからじゃ」

手長島の男が長い長い手を伸ばし」
足長島の女の尻や胸をさわるんやな」

すると足長島の男が怒って」
長い長い足を伸ばして」
手長島のものを蹴り倒すわな」

すると 1 時間は収拾がつかん」
長い足と長い手が島の間の海上で」
こんがらがって大戦争!」
日になん度も総力戦をやっておる」

足長島と男護ケ島は」
干潮時につながるから渡りなさい」



「わ~い!男護ケ島だぁ~!

男ばかりいるわね」

「ようこそ!私がこの島の酋長です。
「なんなりとおいいつけください。

「ただし!みんな女性は初見で珍しく
「異常に興味を示しているので
「乱暴はしませんから
「どうか近づいてみたり!匂ってみたり!
「さわったり!なめたり!
「甘くかんだりすることをお許し願いたい。

分かりました」
その前に少し休ませてください」

「おお!そうじゃ。
「寝室は 1,000 平方メートルの
「宮殿の特別室をお使いいただこう。

「では!余がお姫さま抱っこを、、、。
「ありゃりゃ!重い!持ちあがらない。
「これ!相撲同好会の若いものを呼びなさい。



あんこ!イケメン!よりどりみどり!」
セックス三昧だね」

「とんこ!喜んでばかりいられないのでは。
「この島の全員の男が
「つぎつぎに求めてきたらどうするの?!

1 日に 10 人も相手にできないよね」

「ひと晩で 10 数人の客を取る娼婦が
「尊敬の目(?)で見られていたような。

なによ!それ」

「たしか!上村一夫の“サチコの幸”の中の
「鋼鉄の穴(!)を持つおね~さん。
「そのくらい一般には無理なはなしだよ。

てのひらと手の甲を」
ちょっとこすっても熱を帯びるのに」
なん本もの肉棒にピストン運動されたら」
あそこが焼けただれるね」

「チェコの 24 時間セックス記録会で
「ま!これは男がなん人の女性とできるか
「数を争うイベントだけど
「世界記録 57 人を目指して
「大勢の挑戦者が
「毎年!病院行きになっているもの。

「短時間に酷使したペニスは
「皮膚移植を受けなければならなくなったり
「焼けただれて切断せざるをえなかったり。

粘膜というのなら男も女もないよね」

「各担当を指示しようよ。
「顔付近担当!胸付近担当というふうに。

どんな基準で」

「基準もなにもないよ。
「直感であなたは股間!あなたは足の裏と。

唇と舌以外ではさわるなとするか」

「もちろん!インサート担当もね。

それでやっているうちに」
適材ではないものには」
担当替えを指示したらいいよね」

あ!それからお姫さま抱っこ係も決めよう」



「とんこ!あなたすごくふとったね。

あなたこそ!」
きたときより 20kg は肥えてるよ」

「ひと月!歩くのはだっこされ
「ごちそう三昧。
「セックス三昧。

このままじゃ!死んじゃうよ」

「飽きてきたから逃げようよ。

脱出の呪文を聞いてなかったよ~!」

「夜中に舟を盗んで北へこぎ出したら
「なんとかなるんでは!?



着いた~!」

「日本に帰ったのかな。

おい!おまえたち!どこの国のスパイだ!」

「違います!違います。
「ここはどこですか?!

女しかいない女護ケ島(にょごがしま)だ!」
私たちは国境警備隊だ!」
怪しいヤツは射殺することになっておる」

「お許しください。
「善良な女です。

そのまん丸の体は」
とてもおなじ女とも思えない!」

「なんでもいたします。
「殺さないで~!

隊長!働かせて様子をみましょう」



「暑~い!

熱いもんじゃないよね!」
塩作りの釜焚きをさせられたけど」
この部屋 60 度以上あるじゃない!」

「地獄の業火はこんなものかねぇ。

先日までのパラダイスはなんだったの」

「塩をなめて!
「にがりをなめて!
「水ばかり飲んで!食欲はなし。

ご馳走をたらふく食べて」
体中!男になめられていたのに」
今は私が塩をなめる日々」

「あれからなん日!やせて!やせて!
「ガリガリになったみたい。

おい!おまえたち!正体を現したな!」

「なんのことでしょう!?

乳長国(ちちながこく)の女だな!」

「ち!違います!
「急激にやせたので
「股や腹や乳房は
「皮だけが垂れてしまっているのです。

まぁ!いい訳はいい!」
乳長国とは中立を守っているから」
浜辺まで送り届けてやろう」



私たちは乳長国の国境警備隊だ!」

「そうらしいですね。

なんだ!怪しいヤツ!」

「怪しいものではありません。
「乳の長くなったフツーの女です。

なん歳だ!?」
36 歳だと!」
うそだろう!」
乳房がへそまでしかないではないか!」

36 歳なら短いものでも」
すねまではなければおかしいだろう!?」
女王さまに相談するか」

「ま!いいではないか。
「人口が減少している事情もあるから。
「この乳房の長い女ばかりの国に
「暮らす気があるのなら
「危害は加えないがな。

暮らします!」
「暮らさせてください。

「しかし!そのへそまでの
「みにくい短い乳房!
「なんとかしてやりなさい。

おい!明日から乳房の先に」
1kg の重しをつけて暮らせ」

「ひぇ~!

それに朝晩!レスリング部のものたちで」
乳房を牽引(けんいん)してやろう」

「引っ張られるのですかぁ!

乳房を首に巻き!胸元で結べるように」
早急に美しくしてやるぞ」



やっぱり!逃げようよ」

「さいわい!北に潮が流れている。

ボートを盗むのもなれてきたよね」

「夜の海を北へ!北へ!

もうふた番目の夜!へとへと」

「またやせて!乳房だけ長く見えるね。

ああ!陸だぁ!日本だぁ!」

「海岸に大きな露天風呂があるよ。

あ!あんこ!待って!」
入浴している人が怪しい!」

「あれ?!乳房が長い女たちばかり!?

もしかしてどこかでUターンして」
乳長国にもどったのかも」

「もう疲れて海に逃げられないよ~!

なにか食べものを探して!少し休もうよ」

見つからないように建てものの壁に沿って
闇に紛れて反対側に回れば
そこがここの玄関でした。

玄関の外灯の下に
「寿老人ホーム」と書かれた
大きな看板がありました。



(敬称略)
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