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十五夜と魚玄機 酔っ払いのお月見 [うそ八百]

十五夜(2021/09/21)になりました。
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自歎多情是足愁
 みずからたんず たじょうは
 これ そくしゅうなるを

況当風月満庭秋
 いわんや ふうげつ
 まんていの あきにあたるをや

洞房偏与更声近
 どうぼう ひとえに こうせいとちかし

夜夜燈前欲白頭
 よよ とうぜんに
 はくとうならんと ほっす


晩唐の魚玄機(844 ? ~ 871 ?)の
「秋怨」という詩。

魚玄機は女性。
美人で聡明。
詩が中国史上もっとも隆盛を極めた時代に
認められる詩を残した人らしい。

森鴎外の小説に「魚玄機」があります。
野蛮な私なんかには
読解できない難解な文章の小説ですが。
不調法で!すみません。

小説ですから
どこまで忠実な伝記か
どうか分かりませんが
魚玄機を垣間見ることはできます。

数奇な運命のもとに
短い一生を送った人とは分かります。

魚玄機は長安の花街に生まれ
教養を身につけ
官僚の側室になり
側室をやめて(やめさせられて)
道教の女道士になったようですが。
道士とは
仏教でいえば僧侶みたいなものでしょうか。

道士のクセに
恋の嫉妬から殺人を犯し
処刑されたときは
26 歳のまだ若い身だったとか。



魚玄機は
長安の花街に生まれたといいますが
この「花街」が考えれば考えるほど
よく分かりません。

だいたい花街を「かがい」と読むときと
「はなまち」と読むときと
ちょっと違う意味になるといいますが。

そんなのは
知ったことじゃないという
自称・有識者も多いのですが。

魚玄機は色街出身だという人も。
花街と色街とは同義語か否か。
ま!そんなこと
1 円にもならぬからやめますが。

女性が男性に性的なサービスをする場所は
浜の真砂(まさご)ほどあるでしょうけど。

その場所や時代で
おなじ単語でも変わっていますがね。

たとえば
西日の射す 4 畳半で家賃を滞納していても
「奥さま」と呼ばれたり
宗右衛門町の暗がりから客引きに
くたびれたおじさんが
「しゃちょうさん!」と声をかけられたり。

花街と名乗ってもいろいろ。



また芸子といってもいろいろ。

「皺のばし 時にゃ赤襟 買ふのんも
     (1893 年 錦の嚢)

「赤襟」は芸子の別称。

「来月は お午(うま)へ指を 折る芸子
     (1823 年 塵手水 )

お午(生理)がこないのが
心配でたまらない芸子ですか。

つまり芸子が体を売っているんですね!
場所や時代によっては。

もともと芸子は芸を売り!
体は売らないのですがね。

日本で一番格のある島原では
遊女にも身分がいろいろあって
天神!鹿恋(かこい)!女郎!は
客と寝るのが商売。

芸妓(芸子)!舞妓!太夫!は
客とは寝ることがなかったそうな。

島原のことばだけが地方に伝搬され
あやかりもあって
「しゃちょうさん!」の
客引きみたいになったのかも。



閑話休題。

ふと!魚玄機は
島原の太夫のような人かと思ったのですが。

島原の芸子の芸は
鼓(つづみ)!踊り!長唄!小唄!ですが
太夫はその上に
和歌!書画!立花!聞香!
音曲!囲碁!は常識で
胡弓!お点前!琴!等も
よくしていたそうな。

たとえ妓楼(ぎろう)の娘に生まれても
関門が多いようです。

島原では
13 歳からふるい分けられていたようです。

美人は立方(たちかた)!踊りのほうに
音感のあるものは地方(じかた)!
歌や演奏のほうに
顔も音感もイケない人には
三味線を抱いて
義太夫を練習しなさいというふうに。

太夫は出自に関係なくなれるのですが
容姿端麗の上に
かずかずのことをこなせる人ですね。

魚玄機は
森鴎外のいう「牡丹の花のよう」で
聡明で
作詩に秀でていたそうですから
太夫を思い浮かべてしまいました。

その人が
まして!道士にもなっている人が
色の黒い!
汚い服装しかできない婢(はしため)を
どうして!殺して埋めたのでしょうね。

「恋」には未熟だったのでしょうか。



夕刻!
某飲み屋にあることを打ち合わせにいって
「なにか飲む?」と聞かれ
「チューハイ」といったら
ジョッキに 2 杯も飲まされ
アルコールに弱い身は(ホントーです)
ふらふらになりました。

おまけに 800 円も取られました。
ただじゃないのかよ。

その後に別の居酒屋にも用事に寄ったら
旧知のおね~さんが客にいて
ウイスキーを飲まされました。
それはただでしたが。

ん!?
新型コロナウイルス禍で
「アルコールの提供はしません」という
店ばかりだったはず?!

それで今日
魚玄機と満月の考察を書くつもりでしたが
酔いがどんどんまわってきて
朝から考えていたことを
みんな!忘れてしまいました。
あんまりたいしたことを
考えてはいなかったのかも。

なにがなんだか支離滅裂になって!
収拾がつきません。



では!生意気にも訳詩を作って終えます。


恋はいくたび さらさらり
月はいくたび 満ちて秋
少し近づく 虫の声
眠れられずに 更けて行く


原詩から遠ざかりましたか。

中国でも韓国でも
1 番を作ればこと足りるようですが
日本語の詩ですから
蛇足ながら 2、3 番も作りますぞ。


うそもまことも おなじもの
月の光が 白い秋
いのち焦がした 夏の日も
ときの流れが 消していく


多情無情は 人ならば
月がやさしく 濡らす秋
生きてうたえば みだらでも
死ねばすすきの 影法師


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しかし!雲ばかりです。


(石川忠久著/秋の詩100選/)
(森鴎外作/魚玄機/)
(高橋利樹著/京の花街「輪違屋」物語/)
(浅田次郎作/輪違屋糸里/)参照
(敬称略)
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