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惚れた女の夫婦善哉 [わが街・大阪ブギウギ]

南海・なんば駅から南海通りを東に行けば
千日前筋(南北の道)とぶつかる角に
土産もの店がありますが。
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ここに「まむし」の「出雲屋」があったはず。

大阪で「まむし」とはウナギ(鰻)とごはんのこと。
「うな丼」とか「うな重」とか。

ちなみに「まむし」店は
「出雲屋」という屋号が多いのですね!大阪では。
そば屋の屋号に「更科」や「砂場」が多いように。

その説はいろいろありますが
私は出雲出身の人が
大阪で「ウナギ」料理店を開いたのじゃないかと。
そこを頼って故郷から後輩がきて奉公し
のれん分けして新しい出雲屋を開店。
それをくり返して増えたのじゃないかと。

思いつきですので忘れてつかぁさい。

閑話休題。

この出雲屋は「夫婦善哉(めおとぜんざい)」にある
「まむし」の出雲屋じゃないかと思うのですが。

目の前に「なんばオリエンタルホテル」があります。

その裏!東側の南北の道に
「タイ(鯛)の皮の酢味噌」がうまいとある
「すし捨」があったはず。
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なんの名残りもないですね。

今日は「夫婦善哉」の主人公の柳吉がうまいという
食べもの店を少し探してみようと歩いています。



織田作之助が世に出た短編小説「夫婦善哉」ですが
ホントはあんまり読んだり語りたくないのですが。
情けなくてハラが立つので。

北新地の芸者だったしっかりものの蝶子と
世界一情けない
安化粧品問屋の妻子持ちの若旦那の柳吉とが
同棲する物語です。

情けない!
なんとも情けない柳吉。
これでもかこれでもかと
オダサク(織田作之助)は「情けなさ」を重ねます。
それでも蝶子は別れもしないで頑張ります。

「他人(ひと)には見えない オトコの値打ち」
「惚れた女にゃ よく見える」(吉岡治作詩・夫婦善哉)

と!石川さゆりは唄っていますが
まさに蝶子は惚れた女の性(さが)でしょうか。

蝶子 20 歳前
柳吉 30 歳過ぎからの 11、2 年間のはなしです。



「かやくめし」と「粕汁」がうまいと
柳吉がいう「だるまや」跡。
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南海通りのひとつ北の
東西の道・なんばセンター街。
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右すなわち北に今でいうレジャービルの
「楽天地」があったようですが。
その一角に「自由軒」があったそうな。

「自由軒」は現存しています。
左側すなわち南に移転しています。

「ここのラ、ラ、ライスカレーは」
「ごはんにあんじょう」
「ま、ま、まむしてあるよって、うまい」

と!柳吉にいわせていますが。

「自由軒」のライスカレーは
今もカレーソースとごはんをよく混ぜてから
客に出しています。

山本嘉次郎が「見た目も汚らしい」といった
カレーです。(拙ブログ 2006/12/13

私も混ぜられたカレーは嫌いです。
だれかにごちそうになって
なん度かいただいておきながら
不謹慎な発言!ごめんなさい。



オダサクの小説は
どれでもそうですが
やたら細かい描写がわずらわしい!(すみません)

理科の実験記録や
野性の動物の観察記録じゃないんですから
大筋に関係ないところはさらりと流してほしいのですが。
家計簿みたいに数字の羅列があったりします。

かれが目指した「リアリズム」なんでしょうか。

それだから「夫婦善哉」は
昭和の初めの大阪の街の記録ともいえます。

ちなみに蝶子・柳吉のモデルだっているようです。
オダサクの次姉夫婦という意見が多いようです。



千日前筋を北上して東西に走る千日前通りを横断して
千日前商店街を進めば
西に延びる法善寺横丁の入り口が見えます。
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蝶子と柳吉は「花月」で春団治の落語に笑っています。

法善寺横丁に「紅梅亭」と
「南地金沢亭」という寄席があったそうです。
「南地金沢亭」は吉本せいが買収して
「南地花月」になったそうですから
時代はそのころだと思えます。

「花月」の横に「夫婦善哉」という屋号の
「ぜんざい」の一人前を
ふたつの椀に分けて出す店があったのです。

「一杯山盛りにするより」
「ちょっとずつ二杯にする方が」
「沢山(ぎょうさん)入っているように見えるやろ」と
柳吉にいわせています。

ちなみに「ぜんざい」とは
江戸では「汁粉」じゃないでしょうか。
江戸の「ぜんざい」は
大阪では「亀山」と呼ぶのかも知れません。

各地で呼び名が錯綜している食べものです。



法善寺横丁にオダサクの句碑がありました。
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他の人の句碑や歌碑や記念碑もたくさんあります。
機会があったら探してみてください。

法善寺は有名な割りには小さく縮んでいます。
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「水かけ不動」の方が大きく見えます。
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善男善女が水をかけつづけるものですから
苔(こけ)生(む)しています。

いっとき!水道水をかけたら
苔が縮小したので
井戸水にもどしたと聞いたことがあります。

水かけ不動の真横に
現在の「夫婦善哉」が移転してありました。
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800 円と書いてありました。

税込みかどうか知りませんが
いずれにしろ!私は甘党じゃないので!
すみません!実は高価過ぎて
通り過ぎてしまいました。



「なにはなくても 心は錦」
「ついていきます、、、 夫婦善哉」
「あなたの背中が 道しるべ」

と!石川さゆりは唄っていますが
「あなたの背中」は
蝶子の背中のような、、、。



(敬称略)
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