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大阪城公園の黄葉 [草のゆかり]

「十月(かむなづき)
「時雨(しぐれ)に逢へる もみち葉の
「吹かば散りなむ 風のまにまに

万葉集(1590)の
「もみじ(もみち)」の歌。

万葉集では
「もみじ」はどんな色でしたやら。
白文で見てみますか。

「十月
「鍾禮爾相有 黄葉乃
「吹者将落 風之隋

「黄葉」を「もみじ」と読んでいますね。

大阪城公園。
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公孫樹(いちょう)が色づいています。
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市民の森の周囲です。
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これが
万葉集の「もみじ」の色でしょうか。
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そもそも「もみじ」の
「もみ」とは「紅絹」
ベニバナ(紅花)を
「もんで」作る色だから「もみ」!
赤色じゃないんですか?!

ま!ベニバナの花だけ見れば
橙黄色かも知れませんが
それは「葉」じゃないですから。

ん?!
無学ゆえのささやかな疑問ですが
万葉のころ
ベニバナが渡来していたのでしょうか。

あら!?

「もみち葉は
「今はうつろふ 吾妹子(わぎもこ)が
「待たむといひし 時の經(へ)ゆけば

あの人が待っているわといっていた
ときが過ぎます。
もみじが散ります。

そんな寂しい意味はともかく
白文を見ると

「毛美知婆波
「伊麻波宇都呂布 和伎毛故我
「麻多牟等伊比之 等伎能倍由氣婆 (3713)

「もみち」は「毛美知」表記ですね。

「黄葉」と「毛美知」はおなじもの?!

園内の桜やメタセコイアは
「紅葉」になっています。
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いつから「もみじ」は
主に「紅葉」となったんでしょう。

たしか白居易の詩に

「林間に酒を煖めむと紅葉をたく

なんてあると聞いたことがありますが。

「林間煖酒焼紅葉

かな。

この「紅葉」を
「もみじ」と読んでいいのかどうか
知りませんが。

「醒睡笑」に

「お茶をもみぢにたてよ

と!院主が小姓にいっています。

「もみぢ」の別のいい方は「こうよう」
お坊さまは
「こうよう」にたてるように
シャレていったのですね。

「こうよう」は関西のことばづかいで
「濃くよく」の音便かも。

その「こうよう」
「黄葉」か「紅葉」か!
お茶の葉によっては
どちらの色にもなりますけどね。

大阪城公園には
黄葉がたくさんありますが。
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でも寒くなったので帰ります。
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「めづらしと
「わが思(も)ふ君は 秋山の
「初黄葉(はつもみちは)に
「似てこそありけれ

万葉集(1584)の恋の歌。
いつの時代も恋はいいものですね。



(安楽庵策伝著/醒睡笑/鈴木棠三校注/)
(白文及び新訓 万葉集/佐佐木信綱編/)参照
(敬称略)
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