SSブログ

愛宕山麓 米買い道 [野道!山道!恋はけもの道!]

柚子の里の嵯峨水尾は
京都盆地の西北にそびえる愛宕山の
南西の山麓にあります。

「みずお」と呼んでいますが
古い地図などには「みずのお」だったりします。

この地の静謐(せいひつ)が好きだった
清和天皇(850 ~ 880)が眠る里でもあります。

清和天皇はこの地の氏神になっていました。
blog31.jpg

清和天皇は 9 歳(数え年でしょう)で即位。
27 歳で 9 歳の皇子に譲位。
30 歳のとき仏門に入りました。
31 歳で崩御。

高貴な家に生まれても大変なようですなぁ。
人間なにがしあわせなのやら。

この天皇より子孫の方が有名なような。
この家系に
源頼朝やら足利尊氏がいるのでしたよね。
いわゆる清和源氏でしょうか。



読み取れなくなりつつある道標に
「米買い道」なんて書いてあります。
blog32.jpg

愛宕山の東にある清滝の山里につづく道ですね。
清滝には田んぼがなく米が作れず
水尾やさらに遠くの亀岡まで
米の買い出しに往来した道。

「番屋の跡」とありますがなにもありません。
blog33.jpg

わ!カエンタケ?!
blog34.jpg

関西の山のあちこちに
「カエンタケ注意」の標識がありますが
実際にその茸を見たことがありません。

猛毒!さわってもいけないとか。

聞きかじりの知識では
カエンタケはブナ科の枯れ木に生じるのでは?!
これ!地中から?!
カエンタケではないのでしょうか。



きれいな杉林がつづきます。
blog35.jpg

清滝の人には米買いの道だったかも知れませんが
京と丹波を結ぶ主要な道路だったのかも。
いつもたくさんの往来があったのかも。

突然!石積みが!数十メートルも。
blog36.jpg

「シシ垣」だそうな。
鹿や猪なんかの動物よけですね。

ここに田んぼがあったらしい。
もう作られなくなって半世紀。
杉の林としか見えなくなっていますが。

下の方で木漏れ日が水面で遊んでいます。
blog37.jpg

水田に使っていた池が残っています。

愛宕山の伏流水は冷たいので
1 度貯めて水温を上げてから
田んぼに引いていたのでしょう。
先人の知恵に感服。



旅人の途切れない
はなやかな道を想像していたのもつかの間
倒木が道に縦!横!斜めにふさいで
どんどん荒れてきました。

この道のランドマーク(!)の大岩のようですが
足元が悪くてながめる余裕もなく。
blog38.jpg

ヌタ場!?
blog39.jpg

もう鹿や猪の世界になっているのでしょうか。

「クヌギのわかれ」のシンボルが!?
blog40.jpg

枯れています。
ナラ枯れかな。
カシノナガキクイムシにやられたようです。

保津峡から愛宕山に登る道と交差しています。
blog41.jpg

荒神峠(庚申峠・長坂峠とも)です。

ここには茶店やら地蔵堂やらあって
行き交う人の談笑の場だったらしい。



下ります。
荒れ放題のところが多く出てきます。

椿の老木の下に可愛いお地蔵さまと
清水があります。
blog42.jpg

小休止の場所かな。

どんどんおかしくなって
もう!道じゃないですね。
blog43.jpg

水の中じゃないですか。

こんな道で
米袋を肩に食い込ませながら
男たちはなにを思っていたのでしょう。

こんなしんどい境遇に生まれて
「うらんでやる!」なんては思わないはず。

早く妻子に届けたい!とか
喜ぶ顔を見たい!とか。

貧しい山村に嫁いだ女たちも
不幸なんて思ってはなかったのでしょうね。

私の日常の不謹慎な思いと違いますか。

ああ!また!あの赤い茸!
blog44.jpg

この道でもうなん度も出会いましたが。
ふらちな!身勝手な考えが起きると
いましめるように出現しますね。



川まで降りてきました。
blog45.jpg

清滝川の落合ですね。
その下流で保津川(桂川)に合流します。

潜沈橋(下清滝橋)を渡って行けば
京に出られますが
米買い道を歩いているので
清滝川をさかのぼって清滝まで行きますか。

このあたりは「京都一周トレイル 西山」と
「東海自然歩道」が同じ道をトレースしているので
整備は怠らず紛れることもありません。

この日は水がにごっています。
blog46.jpg

松尾芭蕉が

清滝の 水くませてや ところてん

と詠んだように
普段はホタルの棲む清流ですがね。

落合と清滝間は金鈴峡と呼ばれる紅葉の名所。

清滝や 波に散込(ちりこむ) 青松葉

珍しい!芭蕉の季語のない句。
51 歳の夏の作。
この年の秋に紅葉も見ないうちに
芭蕉は逝きました。
脳裏に去来していたものはなんだったのやら。

芭蕉が見たようにまだ紅葉には遠い。

渡猿橋が見えてきました。
blog47.jpg

清滝の集落に着きましたね。
米もなにもかついでいないのに
2 時間半要しました。
時間かけ過ぎ!体力なさ過ぎ。
コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感