井原西鶴の子孫たち

関西では「おださく」の愛称で呼ばれる
織田作之助（1913 ～ 1947）が立っていました。


いつ建立したのかまったく知りませんでしたが
生誕 100 年の顕彰碑ですか。

地元では「生玉（いくたま）さん」と
フランクに呼ばれている
生國魂（いくたま）神社（大阪市天王寺区）の境内。

「おださく」に対峙している
井原西鶴（1642 ～ 1693）は
20 年前から座っていますが。


俳諧師・西鶴は 39 歳のときに
ここで一昼夜に 4000 句！独吟したそうな。

しかし！こんな無茶（？）なこと
このときが初めてではありません。
34 歳で妻を亡くしたあとに
「一日千句追善興行」をしたそうな。

35 歳のときには 1600 句詠んだとか。

「4000 句」から 4 年後に
場所を住吉大社に移して
一昼夜に 23500 句独吟！？



1 日は（今の単位でいえば）24 時間しかないですよね。

23500 ÷ 24 ≒ 979

1 時間に 979 句詠まねばなりませんぞ。

23500 ÷ 24 ÷ 60 ≒ 16.3

1 分に 16.3 句！

23500 ÷ 24 ÷ 60 ÷ 60 ≒ 0.27

1 秒に 0.27 句。

早いはなし
1 日 24 時間 × 60 分 × 60 秒 ＝ 86400 秒を
割るところの 23500 句は 3.67 秒
3.67 秒に 1 句！！

飲まず！食わず！寝ないで
咳もしない！トイレも行かないでも
3.67 秒に 1 句！！

だれが数えたのですか。
同じような句を 2 度 3 度いったりしないのですか。

声でいっただけでしょうか。
自分で紙にしたためたのでしょうか。
筆記係がいたのでしょうか。
筆記係がいたとしても
ひとりやふたりでは書き留められないでしょう。

ちなみに私の手元にある
俳聖・松尾芭蕉（1644 ～ 1694）の全句集には
生涯に 976 句しかないですが。

芭蕉一生の句を1 時間で詠んでいます。



この時代には
俳句を詠（よ）む興行があったのですね。
西鶴だけじゃない！
他にもなん人かの俳諧師が
多作を披露する興行を打っているようです。

すごい時代ですね。

もっとも日本独自のこの「詩」は
他国の詩にはない特徴があるとか。

「俳諧は上質のユーモア感覚を競う遊戯性がつよい」
「知的遊び」

と！外国人は驚いています。
（張競／和歌の詩歌様式を読み直す／1994年講演記録）

遊戯なら大衆文化にもなりえて
遊戯する人！見物したい人！がいて
興行が成り立つのでしょう。

万葉集の長歌（たぶん！反歌）から派生した「詩」が
千年を越えて今も衰えることなく日々作られています。
それは短歌や俳句や川柳や狂歌や
都々逸や童謡や演歌等に形は変えていますが
基本的な七五調！五七調は変わらないような。

こんな不変の「詩」は世界でも例がないことらしい。

俳句や短歌等の「詩」の投稿欄を
毎日のように掲載する新聞がどこの国にありましょう。
とはいうものの！すみません！
新聞の購読をやめて久しく！めったに読まないので
今！確認できず！無責任な発言ですが。



日本人みな詩人なのです。
俳句や川柳は
五七五の形式があるからだれでも作れるのです。
だれでも俳人になれるのです。

「俳句できました」
ときどき児童がいいますが。

私を「エラい」と思っているらしい。
間違っていますよ。
ま！「頭脳がエラそうだ（偉そうだ）」と思っている人と
「体力がなくエラそうだ（シンドそうだ）」と思っている人と。
ま！後者が多いですが。

そんな人が「俳句」ができたと
ハイキング中にいってきたりします。

「山の中　足が疲れた　すみれ咲く」

いいじゃないですか。

「なおすところ！ありますか？」

ありません。

自分が感動していいと思ったらいいのです。
だれかひとりでも感動してくれたらもっといいですね。
日本中が感動したらすごくいいですね。

鼻の下にしわの増えたおばちゃんも披露。

「おむすびが　ころがりみんな　大笑い」

いいですね！なおすところはありません。

「これ！俳句になりますか？」

自分が俳句と思えば俳句です。
字余りでも字足らずでも
文語と口語が入り混じっても
アルファベットやアラビア文字を入れても
季語が分からないのなら入れなくても
自分がよければいいのです。

ほめればみんな安心します。

さらに「七七」つけて
宮内庁の歌会始（うたかいはじめ）に
詠進しようという大それた人もでてきます。

どうぞ！選ばれたらいいですね。

ナイショですが
私はまったく感動しない句ですけどね。あは。

詩人だらけの日本！それは感動ものです。



（敬称略）